◇ラプンツェルはボロボロ ページ7
「随分と張り切ったみたいだな、黒井」
「え、えへへ……疲れた……」
夕飯の時間をとっくに過ぎちゃって、お腹も空いたし一旦休憩しようって事になったので雷々軒に戻ると、出迎えてくれたヒビキさんからそう言われてしまった。
ま、まぁ……言われるよね。
今の私、結構ﾎﾞﾛﾎﾞﾛだから。
トビタカとパス練習したのはいいけれど、全然ボールの扱いに慣れてなかったからさ。
最初なんてあっちこっちに飛びそうになって、その度に私が頑張って拾いに行ってたからもう大変だったよ。
でも暫くやってたら加減とか分かってきたのか、あんまり飛ばなくなったし。
最後ら辺はちゃんとパス出来てたよ、トビタカ。
……まぁ、それでも時々飛び過ぎちゃったけれど。
「まさか飛鷹よりお前さんの方が泥だらけになるとはな」
「何度か転んじゃって……
怪我はしてないけど、汚れちゃった……」
「わ、悪い黒井…！俺、本当にまだ蹴り方わからなくって…」
「ううん、大丈夫だよトビタカ！
次からは汚れてもいい格好で来るからね！」
「えっ…次も来るのか？」
「勿論！トビタカが上手にパス出来るようになるまで付き合ってあげるよ！」
「……」
「良かったじゃないか、飛鷹」
ヒビキさんがからかうようにそう言うと、途端に黙り込んでいたトビタカはそっぽを向いてしまう。
耳が真っ赤になってるけれど……大丈夫かな？
「それより2人とも、腹が減ってるだろ？
何か作ってやるから好きなの言ってみな」
「ホント？もうお腹ペッコペコ〜！
好きなのでいいんでしょ？なら私は、えーと……あ！醤油ラーメン！あとギョーザも！
……トビタカは？」
「えっ……じ、じゃあ……俺も」
「はいよ。適当に座って待ってな」
ヒビキさんに言われた通り、空いていたカウンターの席にトビタカと並んで腰掛ける。
この席だと目の前でヒビキさんが調理している所が見れて楽しいんだ！
ラーメンを作る所なんて見た事なかったからね。
どんな風に出来上がるのか、私は食い気味で眺めていると、ふと隣にいたトビタカが口を開いた。
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