否定も肯定もしないんだ ページ2
「狩屋君、それについては不動さんを責めないで下さい。不動さんは不動さんで私の事を考えてくれているんですから」
狩屋の言葉にすかさず古城が割り込んだ。
すると狩屋は幾分か眼光を弱めつつも
まだ不満げな顔をしたまま、言葉を返した。
「本当にAの事を考えてるなら、Aに悲しい顔なんかさせないと思うけどな」
「やむを得ない事情はあります。どうしようもない事だってあります。
誰かを喜ばせる為に、誰かが悲しむ事だって……」
「俺だったら、Aの悲しむ事は絶対にしない。
例え、それで誰かが悲しむ事になったって」
「狩屋君っ…!」
「…っ…」
…俺は思わず顔を顰めた。
狩屋の視線がやけに心に刺さる。
そりゃ、俺だって古城には笑って欲しい。
悲しんで欲しくないし、ましてや泣いて欲しくもない。
でも古城が大好きな親父さんの頼みを無視するワケにもいかない。
でなきゃ古城が更に悲しむって知ってるから。
……まぁ、この場合はきっともう手遅れなんだがな。
「……分かれ、とは言わないし、お前の言ってる事は否定しない」
色々頭で考えて、俺は溜息混じりにそう告げた。
すると狩屋は拍子抜けしたような顔をして目を丸く見張り、何か口にしようとしたみたいだが
その前に俺が「でも、」と挟んで遮った。
「…肯定もしない。
古城の親父さんの事情もあるんだ。
今回のお前らの行動はソレを蔑ろにしてる。
そこは叱らなくちゃならねぇ」
「っ…だけどっ!」
「それに、結果的に古城は悲しんでるじゃねぇか」
「っ……っ……!」
「…狩屋君、落ち着いて下さい」
椅子から立ち上がり、俺の言葉に何か言いたげに、でも歯を食いしばって何も言わず、狩屋は威嚇する猫のように俺を睨む。
古城はそんな狩屋を宥めるが、椅子に座り直しただけで目付きも表情も変わらない。
「とにかく、これ以上此処にいる理由はない。
とっとと荷物纏めてさっさと帰るぞ。
その間、言い訳でも考えてるんだな」
「………」
「…わかりました」
とりあえず、これ以上長居するワケにもいかない。
最後に俺はそう告げると、狩屋は不服そうに黙り込み
古城は素直に返事を返して、椅子から立ち上がる。
でも狩屋だけ座ったままで、古城が「行きますよ」と言うとようやく立ち上がり、でも最後まで目付きが悪いまま、2人は部屋を出て行った。
……愛されてんねぇ、古城は。
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ゆうくん(結翔)(プロフ) - *IJu*さん» いえいえ!!はい、頑張ってください!!! (2020年5月6日 8時) (レス) id: 891a01bcc7 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ゆうくん(結翔)さん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです( ´ ▽ ` )これからも頑張ります〜! (2020年5月6日 4時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうくん(結翔)(プロフ) - とても内容めっちゃ好きです(語彙)これからも頑張ってください!!! (2020年5月4日 13時) (レス) id: 891a01bcc7 (このIDを非表示/違反報告)
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