△リボンが24こ▽ ページ27
『___こうして小さな女の子と男の子は、幸せに暮らしましたとさ』
パタリ、絵本が閉じられた。
もう物語は終わってしまった。
でもまだ眠れない幼いその子は、隣で寝転ぶ優しい母に問い掛ける。
『本当に2人は幸せになったの?』
『どうしてそう思うの?』
『だって男の子は最初、女の子に意地悪ばかりしていたから。幸せになってもその後、また男の子が意地悪して女の子と喧嘩するかもしれないよ』
子供ながらに答えようのない疑問を尋ねると
母は少し考えてから困ったように笑って『そうかもね』と肩を竦めた。
『男の子は優しくするようにはなったけれど、ずっと意地悪して来たものね。もしかしたらまた喧嘩しちゃうかもね』
『それじゃあこの女の子、ずっと幸せになれないじゃん!優しくて可愛い子なのに…こんなの、酷い……』
物語の終わりのその先を想像して、幼いその子は悲しそうに目を伏せ、表紙に描かれた女の子に触れる。
想像して心を痛めたのか、じんわりと涙がその瞳に滲んだ。
だが不意に頭にあたたかい手が乗っかり、顔を上げると、母は優しく微笑みながら首を振った。
『ううん、それは違うのよ。
この子は幸せになれてないワケじゃない。
この女の子の幸せを決めるのは、この子自身だから』
『この子…自身?』
『そう、この子自身』
幼いその子には母の言葉は少し難しいらしかった。
こてんと首を傾げると、母は唄うように続ける。
『例え周りからどんなに悲しまれても、可哀想だって言われても……この女の子が幸せだって思えたら、きっと幸せなのよ。
例えば…そうね。人魚姫とかだって、最後は海の泡になっちゃうけれど、もしかしたら幸せだって思っていたかもしれないわよ?』
『どうして…?王子様とは結婚出来なかったのに?
別のお姫様と結婚しちゃったのに?』
『彼女が人間になって、王子様に会えただけで彼女は幸せだったかもしれない。
例え想いが通じなくても、傍にいれただけでも幸せだったかもしれない。
でもそこはママもわからないわ…だってママは人魚姫じゃないんですもの』
『………?』
『うーん、ちょっと難しかったかな?』
幼いその子には母の話は理解出来なかったようだ。
またこてんと首を傾げて母を見遣ると、母はまた苦笑いを零しながらその子の頭を優しく撫でた。
撫でられていると、ふわふわと気持ちいい感覚がその子を包む。
その子はその感覚に身を委ね、ゆっくりと目を閉じた。
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Rai - *IJu*さん» イベント参加ありがとうございます〜! 実は私もその作品「 箱庭少女の孤高哀歌」も読んでました正に好きで、これからの作品ともに頑張って下さい! (2020年8月25日 18時) (レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Raiさん» ありがとうございます〜!では参加させて頂きますね〜! (2020年8月25日 18時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - *IJu*さん» その他大丈夫です!後そのまま画面、ペースト、通常検索など出て来ると思います! (2020年8月25日 17時) (レス) id: 882913bd82 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Raiさん» ですが、Raiさんがもしよろしければ、他にもイナGOの作品を書いているので、そちらの方でイベントに参加させて頂いても宜しいでしょうか? (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Raiさん» 初めまして、コメントありがとうございます!折角のお誘い感謝致しますが、この小説は内容があまり明るくない上に人を選ぶ作品だと思っておりますので、この作品での参加はお断りさせて頂きます…… (2020年8月25日 15時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
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