今日は夕日が綺麗ですね【皆帆】 ページ4
「何をしているのかな、キミは」
学校の屋上で、コチラに背中を向ける少女に向けてそう尋ねた。
すると少女はゆっくり振り返り、僕を見ると微笑んだ。
「…夕日を、見ているの」
それだけ言って、また彼女の視線は空に移る。
少し強めの風が吹き、彼女の長い黒髪が大きく靡いた。
「なら、そんなに危険な所で見ないでこっちに来なよ」
僕は
だけど彼女はジッと空を見上げたまま、動かない。
「……ねぇ、1つ聞いていいかな」
「…何だい？」
「あの夕日、何色に見える？」
彼女は静かにそう言うと、おもむろに前方で沈んでいく太陽を指差した。
答えようか一瞬戸惑ったけど
これに答えたら彼女が戻って来るかもしれないと淡い期待を抱き、素直に彼女の質問に答えた。
「…綺麗なオレンジ色だよ。
今日の夕日はとても綺麗だ」
「……そう」
すると彼女は首を微かに下に傾け、サイドに垂れた髪を耳にかける。
表情は背中を向けられているのでわからないが、その背中はやけに憂いに満ちていような気がした。
「…オレンジ色って、どんな色？」
「……え？」
少しの沈黙の後、彼女はまた僕に尋ねた。
だけどその問いの意味が、僕にはよく理解出来なかった。
「オレンジ色は…オレンジ色だよ」
「…わからない。
オレンジ色って、どんな色なの？」
そう聞くと彼女は振り返り、首を傾げてキョトンとした顔をする。
どう答えようか迷っていると、彼女は何処か物悲しそうにこう言った。
「…私ね、色がわからないの」
「え…？」
「目の病気、全ての色が灰色に見える、そんな病気」
彼女はくるっと回って無表情で呟くと、僕の目を見てクスッと笑う。
「だから…ね、わからないの。
オレンジ色とか青色とか紫色とか…
貴方の、色とか」
肩を竦め、困ったように笑うと
おもむろに彼女は両手を広げて、ゆっくりと後ろに傾いた。
「だけど、あの夕日が綺麗なのは分かった。
ありがとう…教えてくれて」
咄嗟に手を伸ばして彼女の手を掴もうとしたが
僕の掌は虚しくも空を掻き
彼女は吸い込まれるように下へと落ちて行った。
「さようなら。
次は色のある世界で会いたいな」
最期に彼女の言葉が響き渡り
何処か下の方で、何かが潰れる音がした。
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紀鏡 - あれ…好きなもの【風丸】の肉のやつになんか察しがつくぞ…ちょっ？！佐久間？生きてる？！ (2017年7月3日 16時) (
レス) id: 4f8c5bdb75 (このIDを非表示/違反報告)
空月 - 好きなもの【風丸】ってやつの肉ってまさか佐久間の((( (2017年2月6日 14時) (レス) id: 9ea75f5c5e (このIDを非表示/違反報告)
areru - 面白かったです。 またいつかでいいのでijuさんのアフロディ楽しみにしています。 (2016年5月4日 21時) (レス) id: 8f172b8017 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - ＊IJu＊さん» わかりましたれありがとうございます♪ (2016年1月24日 17時) (レス) id: 9dca1ab2b7 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - リオさん» リクエストありがとうございます！！ お話がまとまり次第、この短編集の続編に更新しますので少々お待ち下さい！ (2016年1月24日 16時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＊IJu＊ | 作成日時：2015年9月10日 13時
