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「俺に似てるんでしょ?」
『…それも聞いてたんだ。』
…私の気持ちまでは話してないよね?
別に言ってもいいのだが、どこか胸の奥に気まずさがある。
洸に一筋だった私が、彼の眠っている間にコロリと気持ちを変えてしまう、軽い女だとは思われたくなかった。
…洸は私が洸を好きだったことに気がついていたはずだから。
「…まあ上手くやってるなら大丈夫だね。」
しばしの沈黙の後、そう言うと洸は私の頭を軽く撫でて、笑った。
…ごめん、洸。
洸に秘密なんて作ったことなかったのに、
ーーー今日初めて彼に隠し事をした。
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「あー、久しぶり。」
そう言って大きく手を伸ばす洸。
仰いだ空は青くて、彼にとっては三年ぶりの外の景色。
看護師さんに少し無理を言って、外に出る許可をもらった私たちは病院の外の広場でくつろぐ。
『なんか長いよね、三年って。』
「そうだな。Aも三年経って雰囲気がすっごい変わったし。」
そう言ってジッと私を見つめる目。
確かに変わった。髪色も髪型も服装も。
木陰に座る私たちの間に暖かい風が吹いて、
首にかかった髪がサラサラと揺れる。
「A、」
『ん?』
「…好きなやつできた?」
『っえ?』
なんでわかって、「図星かー。」
洸はニヤリと笑って私の髪をぐしゃぐしゃと撫でる。
「よかった。」
嬉しそうで、でもどこか悲しそうな、複雑な表情。
『…洸?』
その表情に引っかかるのは何故だろう。
「あ、そろそろ戻らなきゃ。看護師さんに怒られるし。」
まるでそれ以上は聞いてくるなと言うように話を逸らして病室に戻っていく洸。
ほんの少しの違和感を感じつつ、
『また来るね。』
私は病院を後にした。
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ココア - 降谷くん好きなんですねー!分かります!先輩の…(省略しました!すみません!)で降谷くんのかっこよさが引き立ってますもん!どちらも頑張ってください! (2017年8月7日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
ややか(プロフ) - ココアさん» ありがとうございます!御幸がお好きなんですね、かっこいいですよね!私もみんな好きですが、推しは降谷くんですねー^_^ (2017年8月7日 9時) (レス) id: 7523ab0653 (このIDを非表示/違反報告)
ココア - 最近、先輩の恋の相手くらいならしてあげてもいいですけどが更新されているのですごい嬉しいです!イイタイコトガアルの方も頑張ってください!ちなみに私は御幸くん推しです!みんな好きですけど///(笑)ややかさんは誰推しですか??教えてもらえたら嬉しいです! (2017年8月6日 10時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
ややか(プロフ) - ココアさん» 待っていてくださったんですね!ありがとうございます!思いの通じ合った二人がこれからどうなっていくのか、見守っていってくださると嬉しいです^ ^完結まで、満足していただけるよう頑張りますのでよろしくお願いします! (2017年7月14日 15時) (レス) id: 7523ab0653 (このIDを非表示/違反報告)
ココア - 更新ありがとうございます!ややかさん待っていました!わぁぁ!!やっと思いが伝わった!!なんか私まで涙が出そうになりました!きょうもドキドキさせていただきました!これからの話も楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年7月13日 22時) (レス) id: ec06966524 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ややか | 作成日時:2017年6月17日 7時