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曇り空の間に時折太陽が見えては、また雲に隠れて行く。朝から重たい事があってからか、浮かない顔をして大学に着いた。着いた時に、章ちゃんと丸が見えて、真っ先に章ちゃんに抱き着いた。
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「…章ちゃ〜ん、」
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丸は睨んでくる、まるで鬼瓦のように。よく章ちゃんは僕の事ほんまに好きなんかな?と(何故か私に)聞いてくるけど、丸は私にさえも嫉妬してくるほど好きな事に章ちゃんはまだ気付いてない。
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「A、どうしたん?」
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「朝から色々あり過ぎて、もう私動けない。充電させてー。」
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抱き着いてるから見えないけど、多分困った顔をしてる章ちゃんは、私の頭をよしよしと優しく撫でる。キスしてしまいたいほどに優しくて蕩けそうだった。
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「…もうええやろ、章大は俺のやしさ、その返してAちゃん。」
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「隆ちゃん、ありがとう。でもな、Aがこんな事になる事ないねん。なんかあったんやろ?どうしたん?僕でよかったら聞くで?」
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この空気が嫌で、必死に作った笑顔を振りまいて、「ううん、もう十分!あ、講義間に合わないからまた今度ね。」なんて、嘘を吐いた。
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その後、その場を逃げるように走って図書館に入ると、いつもの席は知らないもじゃもじゃが寝てて、その隣の席に座った。もじゃ(以下省略)は、分厚い六法全書を下敷きに寝ている、固すぎて寝れなさそうなのに、よだれを垂らしそうな勢いで寝てる。私は鞄の中に入れてるあの人から貰った本を開いた。
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その本を読みながら、章ちゃんの事を考える。
過去の事とかあの人の事とか信ちゃんの事とか、話したくないわけじゃない。過去を話したら嫌われるとかそう思ってるんじゃなくて…ただ何故か話したくない。
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作者名:みーとぼーる | 作成日時:2016年10月13日 3時