【鬼滅の刃】日溜まりは堕ちた【男主】 (ページ39)

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３９話ページ39

「冨岡義勇だ。お前が花之森(はなのもり)Aか？」

三日はあっという間だった。

炭治郎にはその日のうちに下山することを伝え、その日から三日間同じ布団で眠った。

帰ってきてすぐでは、もう炭治郎達から離れたくないという気持ちのほうが強く、何も考えたくはなかったが、自分が何故最終選別に行ったのかを思い出し、決意を新たにしていた。

炭治郎が最終選別に行かなくても良い様にする、禰豆子を人に戻す方法もきっと見つける。

そのために俺は強くならなければならない。

俺が下山すると言うと、炭治郎がまた悲しむのではないかと思いもしたが、消沈はしているようではあったが、目の輝きは失われなかったことに、俺は安堵した。

三日後、炭治郎を見送り、隊服に着替え冨岡さんを待っていると、鱗滝さんの家に訪れたのは黒髪の男だった。

名を問われて俺は静かに頷く。

この人には見覚えがあるが、どこで会っただろう、最近ではない気がするが全く思い出せない。

こういう所が自分が駄目だと思う。

「A」

家を出て行こうとすると、鱗滝さんに止められて振り返る。

「これを…、少し粗削りだがもう一つ作っておいた、持っていけ」

そういうとすっと何かを出されてそれを受け取る。

それは選別前にくれた狐面と同じ柄のもので、帰ってきてすぐに失くしてしまった、申し訳ない、と伝えていたのを気にして作ってくれたのかもしれない。

「…大事にします」

「近くに来た際には、顔をだしてくれ」

俺が頷くと、大きな手で頭を撫でくれて、俺は笑顔を見せる。

そして、その手で背中を押されて家を出た。

「任せたぞ、義勇」

「……はい」

俺が出てくるのを待っていた冨岡さんは、返事を返すと惜しげもなく、背を向け歩き出す。

その歩む速度があまりにも早すぎて、急いで鱗滝さんに手をふると、面をつけ、ひたすらに冨岡さんの後を追った。