40話 ページ40
「先に言っておくが、俺はお前を継子として認めるつもりはない」
とても大きな屋敷にたどり着くと、冨岡さんが突然喋りだし、話し終えたのか屋敷に入っていく。
俺は訳が分からず、門の前で立っていたが、戸を開けたところで冨岡さんがこちらを向き、待っているのがわかって屋敷へと入った。
中に入り廊下を突き進んでいく彼の後を追うと一つの部屋の前で足を止めた。
「ここの部屋を使うと良い、自由にしてくれて構わないし、俺に許可を取る必要もない」
そういう冨岡さんの表情は無そのもので、何を考えているのか読み取れない。
敵意はなさそうだけど、先ほど門前で言われたことが気になり、聞こうとしたが、部屋の中に押し込まれるようにして入れられると、振り返る前に戸を閉められてしまったのだった。
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部屋は広かった。
外観も相当大きかったので、当たり前かもしれないが俺が暮らしていた家を全部合わせたくらいの広さもあり、広すぎて落ち着かないどころか薄気味悪さすら感じる。
とりあえず持ってきていた刀と、風呂敷を部屋の隅に置いて部屋の戸を開けて、さらに廊下の戸を開けると外の光が入ってきた。
面を外すと、そのまぶしさに俺は目を細めた。
ここに来る三日の間に錆兎には会えた。
いつものように岩に座っていて、川を見つめていたから後ろから目隠しをして「だーれだ?」と言ったら本当に子供みたいだなと、笑われた。
彼からは怒りの感情が消し去っていた。
俺はそのことに心から安心し、今ここに来れている。
選別前。自分に動揺を与えたくなくて会いに行けなかったけれど、今回は会いに行って本当に良かったと思う。わだかまりを抱えたままではいたくはなかったから。
炭治郎や禰豆子の事は気かかってはいるが、鱗滝さんが責任を持つと言ってくれたからきっと大丈夫。
俺は自分ができる事、やらなければならないことに集中する。
「花之森、夕食は飯処へいく」
富岡さんがひょこりと廊下の奥から顔を出し、そういうと顔を引っ込める。
ついて来いと言う意味だと言う事に気づいたのは、俺が立ち尽くし廊下を眺めているとまた冨岡さんが顔を出した時だった。
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作者名:矢月 | 作成日時:2020年2月15日 13時