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1話 ページ1

Aside

「なんだ…これ…」

風呂敷に包んで持ってきた餅が地面をころころ転がった。











「じゃあ、ばあちゃん、炭治郎の家いってくる、夜までには帰るから」

「絶対に夜になるまでに帰ってくるんだぞ」

「わかってるよ」

もうすぐ正月だ。俺の家は子供が俺しかいないし、家にはばあちゃんとじいちゃんしかいない。

親は町に稼ぎにいってて、手紙のやり取りや、正月や盆などは帰ってくるがそれ以外は3人暮らしだ。

炭治郎というのは同じ山に住んでいる友達で、、母ちゃんと父ちゃんがこんな状態だから、よく彼のお母さんにはお世話になっている。だからお正月などは普段のお礼もかねてお餅を持っていく。

あそこの家はとても子供がたくさんいてにぎやかだ。あそこに行くと「兄ちゃん兄ちゃん」となついてくるあいつらが可愛くて仕方がない。

今日は何をして遊んでやろうか。

彼らの笑顔や無邪気な声を思い出すと自然と足が速くなる。


ばあちゃんはいつも口を酸っぱくして言う言葉がある。
それは出かける時だ。

”夜までに帰ってこい”

これだ。

それは物心つく頃にはすでに言われ続けているから、耳にタコだ。

なんでも「鬼」が出るとかで、夜は外に出てはいけないらしい。

鬼って山姥(やまんば)か?と聞いたらものすごい勢いで拳骨を食らったのを覚えている。

今日は朝早く出たし、夜まで十分時間がある。手伝いがあれば手伝いもするし、終わったら思いっきり遊びたいなあ。

炭治郎は家にいるだろうか。彼の事だからもしかしたら「正月はみんなにたらふく食べさせたい」といって炭を売りに行ったかもしれない。

彼は本当に優しい。俺が足をねん挫した時も負ぶって家まで運んでくれたっけ。

俺も何か手助けできることがあればいいんだけどな…。

気持ちばかりの餅を持っていくだけで、楽しいことも分けてもらうばっかりで何もできてない気がする。

はあ、とため息を一つついてぐっと手に力をこめる。こんな暗いこと考えてたらまた心配されてしまう。いろいろ考え事をしていたら遠くに竈門家の屋根が見えて俺は走り出した。

「炭治郎ー!禰豆子ー!」

近づくにつれて彼の家族の名を叫ぶ。

俺は、わらわらと群がってくる彼らを期待していたのに。

到着した俺の目に飛び込んできたのは、地面や家の中で倒れこむ血にまみれた彼の家族で。


「なんだ…これ…」

手から大事に持ってきていた風呂敷がぽとりと地面におちた。

2話→



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作者名:矢月 | 作成日時:2020年2月15日 13時

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