2話 ページ2
「何なんだよ…何なんだよこれ!」
幾度となくいたずらをされてきた経験はあった。
でもこれはあまりにも趣味が悪すぎる。頬がこわばるのを感じながら地面に転がっている小さな子に近づいた
「六太…?」
この家で一番小さな子だった。
「大丈夫か?どうしたんだ?」
優しくあやすようにして体を揺らした。でも彼はピクリとも動かないどころか体が雪のように冷たく、俺は思わずその小さな体を抱きしめた。
家の方に目を向けると、血まみれの障子は枠から外れ地面に散らばり、部屋の中の真っ赤に染まっていて
雪靴を脱いで上がろうとした体の動きを止める。
皆血まみれだった。見開いた目はまっすぐとどこかを見据えて動かず、体や口からは血を流している。
茫然とその光景を見渡しているとその中に、炭治郎と禰豆子がいないことに気付き、土足で家に上がり込んで、六太をおばさんの膝に乗せると家を飛び出した。
「これ、炭治郎の…」
辺りを探そうとするとすぐに地面に籠が転がっているのが目に入った。これはいつも炭治郎が炭を売る時に背負っているものだ。
その周辺には血が落ちていて、真っ白な雪の上には、血と足跡がどこかへ向っている。
二人共怪我をしているのか?
もしもそうなら早く見つけなきゃ、見つけてやらなきゃ!!
俺は足跡を追うように走り出した。
二人がこの先の道で倒れていないことを祈りながら俺はただひたすら足を動かす。
止んでいた雪がまたしんしんと降りだし、冷気が肺に入って、痛い。
早く見つけなきゃ、一分でも、一秒でも早く
我武者羅に走っていると前方から黒髪の男性がこちらに向かって走ってくるのが見え、俺はその人物に手を伸ばす。
「あ、あの!」
呼び止めようと声をかけると、男性は俺の隣まで来て足を止めた。
「こっちの方に赤髪の…俺と同じくらいの少年と…」
息を切らしながら懸命に二人の特徴を言おうとすると、彼は視線を来た方へと向ける。
「この道をまっすぐ行け、足跡を辿り途切れたところを下れ。まだ動いていないのであればそこにいるはずだ」
え?
二人を知ってるのか?生きてるのか?!怪我してるのか?!大丈夫なのか?!
それらを聞こうとして口を開くよりも先に彼は走り出し、すぐに追いつけない距離までになってしまったのだった。
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作者名:矢月 | 作成日時:2020年2月15日 13時