【伊月俊】隠し事

帰り道 ページ10

「ふぁーさむっ」

伊月くんとマジバを出ると、外はとても冷え込んでいた。
マフラーを口元まであげ、ポケットに手を突っ込む。

「最近はよく冷えるよなー。」

鼻を赤くしてはぁーっと白い息を出す伊月くんはとても可愛い。女子より女子力。
ていうか、伊月くんの手触りたい。冷え性の男の人ってツボなの。メチャ好きなの。よくわかんないけど！！

「なーに人の手ジロジロ見てんだ？俺の手は高いぞ」

私の視線に気づいたのか、私の頭に強く手をがしっと乗せた。がしっと嫉妬。キタコレ。(言わないけど)
頭ポンじゃなくて頭ガシですか。好きです。

「やっぱバスケしてると手おっきくなるのね！」

それっぽい言葉で流す。でも本当に、可愛い。じゃなくて大きい。

「ん？あーまあ確かに。けど木吉なんかもっとでかいよ。ていうか男の人って大体こんなもんじゃないか？」

自分の手を甲と平見返す。可愛い

「んーーー男の人の手あんま見ないからわかんないっす！」

「へぇ、俺のは凝視するんだな」

確信犯なのか、何なのか。とりあえず可愛い。
チラッと私を見て小さく微笑むところもなかなか可愛い。

「ま、まあ伊月くんの手は見ちゃうよね！」

「なんだよそれー！…えいっ」

「冷たっ！！」

伊月くんが急に素晴らしいその綺麗な手で私の頬を触る。冷え性なのか。とても冷たかった。
1秒でも伊月くんに触れられて嬉しいけど！！何より伊月くん今照れたよね！？いや知らんけど！

「仕返しだ！！」

ラッキースケベと言いますか。いや言いませんが、伊月くんの頬に触る。うわぁああって感じ。

「うっお。Aすごい手冷たいな。大丈夫か？」

ん？これはまさか伊月くんが手で私の手をハンバーグしてくれるのでは？？？

「冷え性なんだよねーーー！」

とりあえず冷え性アピール。すると伊月くんは考え込む。可愛い。
すると伊月くんは鞄から何か取り出した。

「はい、これ。かーさんが持ってけって言ってたの忘れてたよ。」

伊月くんが出したのはホッカイロ。
お手手ハンバーグ期待してたけど！！けど可愛いから許す！！

「あ、もう家か。Aといると過ぎる時間が早く感じるよ。」

ほらもうこういう事言うし！！！

「私もだよ！！」

「ん？それは嬉しい」

ヘラっと微笑み、ふぅーと白い息をまた吐く。可愛い。

「じゃ、またね伊月くん！送ってくれてありがとう！」

「あぁ。また明日！」

そう言って伊月くんはクールに去りましたとさ。

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