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「次はおぬしらの番じゃぞ、『Trickstar』……首と胴体が泣き別れになる前に、逃げだす算段でもしておくべきじゃの？天祥院くんのことじゃから、『逃げ道』はちゃんと用意されておるのじゃろ。そこに逃げても、取り囲まれて、全滅するかもしれんがのう？すでに策は成っておる、この将棋は詰んでおるよ。時間切れじゃ。おぬしらが苦労して、死力を振りしぼって動かしたこの学院の時計の針が、強引に戻されてしまった。まさかこんなに早く、天祥院くんが退院してくるとはの……あやつが戻ってくる前に夢ノ咲学院の改革を終えられなかった、それが敗因じゃ」
お兄ちゃんがここまで言うなんて……英智先輩はお兄ちゃんと並ぶ……いや、もしかしたら上かもしれない……相当頭の切れる人だ
「我ら『UNDEAD』は影じゃ。光が強いほど、影は濃さを増す。おぬしらとの共闘は、楽しかった。まさに、夢のようじゃったよ。けれど、『fine』の光は強すぎる。すべての闇は消し潰されてしまう、どうやら我輩たちは『ここまで』のようじゃの。今回は、我輩たちはおぬしらに協力する前に、この場で処刑されてしまう。おぬしらは孤立無援で、あの『皇帝』と争わねばならん。見よ、夢ノ咲学院の王者が凱旋するぞ。学院最強の『ユニット』……『fine』が、間もなく登壇する。もはや、こんなものは『対決』ですらない。天祥院くんの、高らかな勝ち名乗りじゃ。そんな舞台は見てられんわい、我輩は失礼させてもらう」
『あっ、お兄ちゃん！』
「気をつけよ。天祥院くんは、心を折りにくるぞ。他人の心を希望を夢を噛み砕き、貪り喰らい、取りこんで己のものにする。邪悪な夢魔のごとき、覇者じゃよ。ゆめゆめ警戒しておくのじゃな、もう遅いかもしれんが……幸運を祈っておるぞ、『Trickstar』の諸君。そして、A。見届けるなら最後まで目を逸らさず見届けることじゃ」
『お兄ちゃん……』
「あるいは、おぬしなら……天祥院くんも翻弄出来るかも知れんの。我輩を欺いたように」
「あっ、朔間先輩……大丈夫かな、フラフラしてたけど？」
『大丈夫じゃないです……』
本当は今すぐにでもお兄ちゃんの側に行きたい
でも、お兄ちゃんは見届けろと言った
これはもう、お兄ちゃんでは手に負えないってこと
Trickstarを守りたいなら私が動かないと守れないことを意味している
「あのひと普段はこの時間、寝てるらしいもんね」
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作者名：ポン酢 | 作成日時：2021年2月17日 22時
