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「今、傲慢な暴君と化した生徒会を打ち倒そうとおぬしらが立った、それは必然だったのじゃろう。かつて退廃し、悪徳の都のようじゃった夢ノ咲学院を改革するため生徒会が締め付けを強化し、この学院を鉄の風紀で戒めた。結果として、この学院は息苦しいまでに潔癖な、けれど平和な学び舎になったのじゃ。ゆえに、この現状は我ら『五奇人』が招いたものじゃ。アイドルという輝かしい立場にあぐらをかき、人気と名声に支えられて好き放題に振る舞っていた、若かりしころの愚かな我輩たちがな。その尻ぬぐいを、おぬしら罪なき若者のみに任せるのは心苦しい。ゆえに、我輩もできるかぎりで手助けをしたのじゃ。明日に迫った決戦……『S1』本番でも、生徒会を打倒するために尽力しよう。けれど、これだけは信じてほしい。我輩は決してかつての栄光を取り戻すため……我らをかつて弾圧した生徒会を憎むがゆえに、参戦するわけではない。かつては、我らが『悪』であった。今さら、己を『正義』などと糊塗するほど恥知らずではない。もう、権力争いにはうんざりじゃ。ドンパチを楽しめるほど、血気盛んな若者でもないしのう?」
いや、お兄ちゃんまだ10代じゃん……十分若いよ
「ゆえに、これは『けじめ』じゃ。同時に、おぬしらが変革し……形成する新たな夢ノ咲学院が見たいという、年寄りの好奇心じゃ。頼むぞ。どうか、永らく停止していた時計の針を進めておくれ。歌声と演奏にのせて、おぬしらの夢を聞かせておくれ」
『北斗先輩に帰るように言われたけど……明日のS1は日中から行われるから学院に泊まった方が私としては都合がいいんだよね♪』
明日に備えてTrickstarもあんず先輩も早々に帰った
私はS1の会場である講堂の下見に来ている
『絶対にミスが許されないからなぁ……下見は大事♪』
講堂が施錠されるまで時間がない。しっかり見て明日に備えないと
『へぇ〜、ステージ裏はこうなってるんだ♪』
「おい、貴様。こんなところで何をしている」
『あ、すみません!もう、閉める時間ですか?すぐ出ていきますね!』
多分、生徒会の人だと思う人から声を掛けられ慌てて講堂を出ようとすると腕を掴まれた
『あの……?』
「貴様、何か小細工しようとしたんじゃないだろうな?」
『え?』
腕を掴んだ人を見ると生徒会副会長で明日のTrickstarの対戦相手『紅月』の蓮巳敬人だった
『小細工って……私手ぶらですよ?』
何も持っていないため手をぶらぶらして見せる
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作者名:ポン酢 | 作成日時:2021年2月17日 22時