176話 彼が見ているのは ページ49
『こんなところでだれを見張ってるの?窓は小さいしここよりもっと見張りやすいところあるんじゃないの?』
山「い、いやここが一番いいところなんだよ」
怪しいな。
山崎は私からすぐに目をそらすタイプじゃないし。
『山崎、誰を見張ってるの?私には言えない?もう仲間じゃないから。
・・・山崎退さん、どうしましたか?』
山「急によそよそしいね。でもごめんね。誰を見張ってるかは言えないんだ」
優しいな。もう仲間じゃないって、部屋の外に追い出せばいいのに。
そうしたら、私に何にも気づかれずに済んだのに。
『じゃあ山崎、床にあけたその小さい穴は何?』
山「え?・・・あ、穴なんてどこにもないよ?」
『ほら、ここに小さい穴が。私相手だと左隣はリスクが高いって思ったんでしょ?だってこっちからも見てるな、いるなってわかるもんね。
この位置だと、私の部屋だと電球の近くだよね。電球なんて点滅しない限り見ないから。目痛くなるし。バレにくいよね
このアパートだと上下の部屋に作りは全部一緒だし、自分の部屋を参考に穴をあければいい。あの黒いしみは山崎があんパン投げつけて作ったんだよね?なら間取りもよく知ってるだろうし』
こんなことなら、前に住んでいた人についてもよく調べておけばよかった。
詰めが甘かったな。そうだよね、監察だもん。全部が全部本名で通すわけないか。
山崎含め、真選組の人の名前じゃなかったし油断してた。
『なんか違う?』
山「いや、その」
『私悲しいな。山崎は私の生活のぞき見してたんだよね。これ、裁判に出したら勝てるかな?
私は今、犯罪を犯していないただの一般市民。真選組は退職した女の子を監視する組織として世に認識される』
山「・・・はい」
まあそんなことはしないけど。
私だって真選組が大事だ。辞めちゃったけど、まだ家族だと思ってる。思ってるだけだけど。
『私と取引しない?山崎は真選組に何も言わない。報告は目立った行動なしと言い続ける。
私はこのことを誰にも言わない。もちろん裁判も起こさない。どう?』
山「・・・ちょっと副長に聞いてみていい?」
『真選組に言わないっていう条件を今言ったばっかりなんだけど』
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作者名:すわり | 作成日時:2022年11月13日 18時