171話 カンコさん ページ44
『よしっカンコさん来た!』
張り込み始めて二日目くらい。とうとうカンコさんが登場した。
正直もうノイローゼになりかけてたから、出てきてくれてかなりありがたい。多分張り込み始めてからすぐにターゲットが出てきてくれたほうなんだと思う。
じゃなかったら山崎があんなに病んだりしないだろうし。
『あの、すみません』
カンコ「ひっ・・・どちら様ですか!!」
『お姉さんどうしたの?すっごく困ってるみたいだけど』
カンコ「別に・・・ただ恨む相手がいただけよ」
私外見はただの子供だよ?
そんな子供に恨んでる相手がいるだけというとは・・・相当精神にきているな。それか子供だろうが何だろうが関係なく自分の意見をはっきり言う人なだけか。
『良ければお話聞きましょうか?』
カンコ「は?あんたには関係ないでしょ?」
あ、この人結構面倒なタイプだ。すぐキレそう。
『そこの喫茶店入りません?あそこのケーキおいしいんですよ』
カンコ「・・・」
今は何でもいいから自分の感情を誰かに吐き出したいはず。
子供はたったの三歳。何を言っても具体的な答えを言ってくれるとは思えない。共感してくれるかも怪しい。
見ず知らずの私にも話してくれる・・・はず。
『どうです?』
カンコ「行くわ」
よし!!
『あ、このケーキ今季限定の限定品らしいですよ!私これにしようかな・・・』
カンコ「ええ」
やっぱり暗い。
どうしようかな。私心理学なんて学んだことないんだけど。
『あのマンション、どなたが住んでおられるんですか?』
カンコ「あそこには、夫が・・・」
夫・・・やっぱりそう思ってたんだ。
まあ本人じゃ気づけないか。
『そうなんですね。でも、どうして旦那さんがあなたを拒絶しているんですか?』
カンコ「私のほかに妻がいて、それで、それで・・・・・・!!」
『それは・・・お辛いですね』
カンコさんが高い声を出して訴えると、目だったのかお客さんがみんなこちらを向いた。
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作者名:すわり | 作成日時:2022年11月13日 18時