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明日、お店がお休みなため
お掃除や片付けをしていたら帰るのが遅くなってしまった
貴方「うぅ、やっぱり10月は肌寒いなぁ」
10月。
もうすぐ銀ちゃんの誕生日だ
ついでに私も。
松陽先生が昔、私の誕生日がわからないからって覚えやすいしそばにいた銀ちゃんと同じにしようって言って簡単に決まってしまった
あの時はお互い「なんでこんな奴と!」って先生に文句言ってたけど…
今はなんだか嬉しい
10月10日は日曜日
きっと銀ちゃんは暇してるだろうし
久しぶりに一緒にお祝い出来そうだからサプライズでもしちゃおうかな
なんて考えながら歩く
橋を渡ろうとする人影が見える
月明かりに照らされて煙管から出る煙が宙に浮く。
彼は………
晋助「こんな夜遅くに女一人で出歩くたァ、何されても文句言えねェなァ?
__________A」
貴方「………晋ちゃん」
夜の闇に響く低い声
麻薬のように惑わす煙管の香り
5年という年月は彼をいっそう艶やかに美しくしていた
晋助「久しぶりだなァ
何も言わねェでいったいどこほっつき歩いてた」
そう私に問う彼は一度もこちらを向こうとしない
ただ、大きな満月を眺める
それすらも絵になるくらいに綺麗で
晋ちゃんから発せられるこの雰囲気に
息が詰まる
ううん、苦しくなるのは私の後ろめたさからかもしれない。
貴方「ごめんね勝手に出て行って………
怒って…る…よね…」
俯いてそう言うと彼が動く気配がした
そして冷たく大きな手が私の頬に触れる
顔を上げると初めて目が合う
捕まった
その瞬間にそう感じた
この目に捕まったらもう逃げられない
あぁ、あの時の同じだ
攘夷戦争でみんなが毎日のように戦いに出ていたあの日
怪我をして帰ってきた晋ちゃんに手当をしようと手を伸ばした
あの時も__________
晋助「クックック
いつまで経っても変わらねェなァ
俺が怖いか?」
私はそんな顔をしているのか
それすらも考えられないのは
もう彼の罠の中で溺れているからなのか
でも一つだけわかるのは
もう、彼の目に光はないということ
目が合っているはずなのに私を見ていないような
もう何も無いと言うような哀しい目をしている
貴方「晋ちゃん…」
何故だか涙が頬を伝う
私も触れたい
そう思うのに、そうしたら壊れてしまうような気がして
晋助「すぐ迎えに来てやらァ」
一気に距離が詰められ耳元でそう囁かれた
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作者名:桜羽 | 作成日時:2018年11月24日 0時