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Aside
「へー。亀がスタンド使いなんてねー…びっくりだわ」
ここなら、追っ手にも見つからなさそうだしひとまず安心かな?
皆も驚いていたが、それは最初だけで今では休んでいるものや仮眠を取ろうとしている人もいる。
私もジュースを飲んで休もうとしていた。
トリッシュのほうを見ると、彼女も私と同じように過ごしていた。
しかし、彼女の瞳は不安そうだった。
彼女を安心させなきゃ。
話をしたら気もまぎれるかもしれないし。
そういえば、さっき何かを言いかけてたな。
聞いてみるか!
「ねえ、トリッシュ」
「え?どうしたの、A」
「あのさ、さっき私に言おうとしたことは何だったのかなーって」
聞いてみると、彼女は少し考えた後、答えた。
「ああ、そうね。さっき、言おうとしたのは……それ、まだつけているのね」
「あ、これのこと?」
右腕につけているピンクの紐に音符がついたブレスレットを見せる。
「だって、あなたからもらったものだから!」
そう、これはトリッシュが私にプレゼントしてくれたものだ。
―――
あれは、トリッシュと初めて街を出かけた時。
彼女とは初めてでかなり緊張して過ごしていた。
街を見て回ったり、ショッピングしたり、お店を見たりと、緊張しながらだが楽しんでいた。
お店を見ていた時、気になるものに目が行く。
それはピンクの柄のハンカチだった。
(これ、トリッシュが気に入りそうな柄だなー。贈ったら喜ぶかな?)
そう思い、ハンカチを買って、待たせていた彼女に贈ると、
「これは?今日は何かの記念日?」
「違うけど、トリッシュが気に入りそうだったから」
早速、中身を開けると、彼女は言う。
「アンタ、これを贈る意味ってわかる?」
「え?意味って?」
「…わかんないなら、いいわ」
贈っちゃダメだったの?
「ご、ごめん」
「謝るようなことじゃあないわよ」
う…気を悪くしてしまったかな。
そんな不安のまま、時は過ぎ、とうとう帰る時間になった。
「じゃあ、今日はここまでね」
「そ、そうね。そ、それじゃあまた…」
できるだけ明るい声でさよならを言い、帰ろうとした時、
「待って、A」
トリッシュに呼び止められる。
―――――――――――――――――――――――――――――――
〇データ
ハンカチを贈る意味は「別れ」「決別」などがある。
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作者名:羊羹 | 作成日時:2019年10月15日 0時