検索窓
今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:12,006 hit

〇プロローグ ページ2

Aside

「Aさーん!これ、お願いできる?」

同級生の女の子が大量の資料を持ってきて言われる。


ああ、また始まってしまった。

「あ、えっと、ごめんだけど…」
「ああー!もうちょいで時間遅れちゃーう!じゃあねー」
「…はあ」

私って、なんで断れないかなー。

…断れないというより、無理やり押し付けられたのだが

そもそも、自分で借りてきたものをなぜ戻せないのか。

ああ、こう考えるとイライラが止まらない。


「久しぶりにあそこに行くか」



資料を図書室に返してから、私は学校の屋上へと向かう。

「いつ見ても、変わらないなー」

そこは、私以外はおらず、風が少し吹いているだけで何もない。

「よーし!」


屋上のど真ん中で、歌い出す。


今日は人魚の歌。

とても切ないようで、儚いもの。

ああ、なんて悲しくて美しいのだろう。


歌っている時が何もかも忘れて自由になれる気がする。

歌い手は私だけで観客は誰もいない。

聞こえても誰かはわからない。

そう、これは、私だけの秘密で

「あなたの歌、なかなかいいじゃない」

…ん?その声は

「へ…と、トリッシュさん!?」

後ろを振り向くと、屋上の出口のほうにトリッシュさんが立っていた。

この人は確か、学校内でも美人で有名な子だ。

生意気なところはあるが、はっきりものをいうタイプで、

しかも、私のような影の人と絡む人じゃない!


「同い年なんだから、『さん』はいらないわ」

「いや、でも」

「それとも、違ったのかしら?」

「いやいや!あってます!あってます!」


やばい。緊張する。

ていうか、私が歌ってたのを聞かれていた?

めちゃくちゃ恥ずかしいんだが!!!


「あなたの歌」

「は、はい!?」

「あたし、結構好きよ」

「え!あ、ありがとう!!!」


そういえば、さっきも褒められた気がするが、聞き間違えじゃなかったらしい。

褒められなれてないから、顔が紅くなっていく。

…めちゃくちゃ暑いな


「ここって、あなたしかいないの?」

「え?あ、うん。屋上だしね」

「そういえば、そうね」

「と、トリッシュはなんでここに?」

「偶然、気になったら歌声が聞こえてね」

「あ、そ、そうなの…」

「…次も来ていいかしら?」

「え!?い、いいよ?」



こうして奇妙ながらもトリッシュと私の交流が始まった。

〇プロローグ2→←〇設定



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.5/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
26人がお気に入り
設定タグ:ジョジョの奇妙な冒険 , トリッシュ・ウナ , 黄金の風   
作品ジャンル:その他
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:羊羹 | 作成日時:2019年10月15日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。