ghost.47 ページ47
「まーた泣いてる」
「だって……
泣かすようなこと言うから…」
「ほらもう涙拭いて!
一緒に前向こう」
「……うんっ!」
恋とかそういうの、よく分からないけど、これが人を「愛しい」と思う気持ちなんだなって、ころんくんと接してると思う。
私、ころんくんに出逢えて良かった。
ころんくんも私にそう思ってくれてるといいな。
.
その日の夜、私ところんくんは病室へとやって来た。
私は、ころんくんと話してからすぐに自分の身体に戻ることに決めた。
意識が戻るまでにかかる時間が未知数だから、なるべく早くに行動した方がいいと思って。
ころんくんも私に付き添って病室まで来てくれた。
ちなみに面会時間ギリギで、滑り込みセーフだった…。
改めて見る、ベッドで眠る自分の顔。
病的なまでに白くて少し怖い。
ずっと苦しい思いさせてごめん。もう戻るから。
眠る自分の身体に心の中でそう語りかけ、私は戻る準備をした。
…………あ、そういえば。
ころんくんに話し忘れてたことがあったんだった。
「ころんくん、実はね、
この前、病室に親が来てたの」
「えっ、二人とも?」
「うん。お父さんもお母さんも、泣いてた…」
「……」
ころんくんが予定より早く帰って来たが、その間に私が病室へ行っていたせいでころんくんを待たせてしまったあの時。
久しぶりに自分の病室を覗きに行ったら、なんと両親が居た。
最近は海外に居ることが多かったので、まず日本にいることに驚いた。
……一番驚いたのは、二人がお医者さんと話しながら泣いてたことだけど。
お父さんは、お医者さんの話を聞きながら静かに涙を流していた。
お母さんは、私の手を握って「ごめん」と言いながら泣いていた。
その光景を見たとき、私は初めて「自分はとんでもないことをしてしまったかもしれない」と思った。
親すら私を必要としてくれなくなってしまった、と思っていたけれど、それはきっと大きな勘違いだった。
「……謝りたい、お父さんとお母さんに」
「うん、」
「だからそのためにも、頑張らないとだね」
そう言って微笑むと、ころんくんも笑い返してくれた。
ころんくんの笑った顔、好きだなぁ。
この笑顔を見たら不思議と「絶対大丈夫」って気持ちになれる。
「……じゃあ、行ってきます」
「うん、行ってらっしゃい」
深呼吸をひとつして、私は自分の身体に戻った。
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ましゅ☆まろ。紫月まろ。(プロフ) - とっても面白かったです!今更ながらですが、完結おめでとうございます! (7月24日 12時) (レス) @page50 id: df7b4f216a (このIDを非表示/違反報告)
葉琥(プロフ) - 完結おめでとうございます。信じてもらえないかもしれませんが自分も一回幽体離脱したことがあって、その時、夢主ちゃんと同じような体験があってこんな偶然あるんだな〜っと思いながら読んでましたw (2020年9月5日 23時) (レス) id: b0d47f7052 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - 完結?おめでとうございます!!さとみくんが出てきた所で一人でずっとつぼってましたwお話面白い部分もあり、切ない部分もあり、すごく面白かったです!ありがとうございました! (2020年3月29日 0時) (レス) id: d37bac9867 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - お疲れ様でした!!すごく面白かったです!! (2020年3月28日 17時) (レス) id: e38bb1f61d (このIDを非表示/違反報告)
詩織-siori‐ - すごくおもしろかったです。意外性のある作品だったので先が読めなくてすごく楽しかったです。 (2020年3月28日 15時) (レス) id: 2a36034942 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2020年2月28日 18時