【あるカルデアの日常】あるマスターの日常【派生作品】 (ページ13)

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□12話　視点:橘樹ページ13

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彼が目を覚まし、安堵したのも束の間。

目前で行われた魔術に目を丸くすることとなる。

剣術で養われた動体視力もあってか、今、目前で起こった真実が未だに信じられない。

今、カメラ、作ってたよな…？

初めて出会ってからずっとあんな調子だったから、忘れてたけど、この人も魔術師なのだ。

もしかしたら、すごい人なのかもしれない。

そんな思考に至るも、気づけばアルトリアにまたもや怒られてる様子に、飽きないな、などと考えていれば、他人事ではなかった。

「なにをされているのですか、マスター」
「特になにもしていないから、安心してくれ。アルトリア」

いや、しれっとなにを言ってるんだ、この人。

「いやいや、明らか俺の顔撮っただろ！」

と、堪らず反論すれば、先程とは異なり、さらっと行いを認める姿勢に驚く。

一体、この人の頭ん中どうなってんだよ。

「断りを入れなくて申し訳ない、余りにも愛らしかったので今この場だけより記録に残すべきかと思ったんだ」

だが、そんな疑問に答える間もなく、彼は満足気に微笑む。

一眼に収めた俺の写真をそんなに気に入ったのか、と考えに至ればひとつの結論に至るのはそう難しくない。

まさか、この人は…っ

さっきの女の子を膝にのせてご機嫌だったのもそれなら納得が行く。

酔いも覚めているようだし。

というかだ。

なんでお前まで見に行ってるんだよ、ギル。

ふたりで一眼を覗けば、実物と比べたいのか交互に見始め、そして、ふっと笑ってみせる。

間違いない、あれは嘲笑だ。

「実に良い笑みではないか樹、その幼さが更に際立っておる」

そう言ってのけるこいつに反論する言葉も見つからず、咄嗟にでた言葉は「消してください！」だなんて、

なんともお粗末な解答。

だが、そんな些細な俺の願いが叶えられるはずもなく、アルトリアまでも向こうについてしまったのだから、もう無駄な抵抗というやつだ。

もう、この人達の前で笑うのやめるか？

などと、ひとり冗談めいた考えに至れば、
この人も本当に懲りない人だと思う。

ハグと頬擦りの許可を求めてくるものだから、俺は今蠢くこの思いを言葉にのせ、言い放つのだった。

「だが断る！」

その一言により、先程までご機嫌だった彼は少しへこんだ様子であったが、、

いや…あれはきっと凹んでなんていないのだろう。

あいつが、次の一手を考えている気がしてならない。

俺の考えすぎ…いや、たぶん間違いないだろう。