St.Valentine*-01 ページ26
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ライデンシャフトリヒ、ライデン港――。
久方ぶりの航海に胸躍らせる女性の足取りは軽く、指定の時よりも早く到着した彼女は海風を肌で感じ深く呼吸をする。
それは彼と再び同じ時を過ごすようになった時分。
父に指定された期日を守るべく、ドロッセルへと向かうこととなった彼等は船のチケットを手配すべくこうして早めに訪れたわけだが。
「緊張しているの？」
「まさか、」
「大丈夫よ。"彼"は貴方と違って良識も人間性も併せ持った素敵な方だから」
さらりと他の男を褒めて見せる彼女は緊張を和らげるどころか、むしろその逆を行く。
それが彼女らしいといえばらしいのかもしれない。
彼等がドロッセルへと向かう理由。
それはかつて結ばれたドロッセルとの婚約を破棄するためか。
こちらの非礼を詫びると同時に、互いに納得できる結果を得るために。というのは表面上の理由。
本来の目的はけじめをつけに行くこと。
すべてを清算し、新たな一歩を踏み出すために。
一度も会ったこともない相手である上に、自身が不利な状況での取引など彼、ディートフリート・ブーゲンビリアからすれば未知の世界。
緊張しない、不安がないといえば嘘になる。
「全く、お前という奴は…もう少し、かける言葉が他にあったと思うが」
「あら、慰めを求めていたの？」
「こんなではこちらから願わなくとも、向こうから破棄されるかもしれないな」
視線を通わせれば小さく笑うふたり。
いくら言葉では強がっていても互いに不安があることは理解できているから。
きっと、互いに飽きれたことからでる笑みだったのだろう。
そんな時分。
「大佐！それにウェンディさん！おはようございますっ」
「お前は…この前の新兵か」
「はっ！」
以前、艦のメンテナンスを行ったときにいた少年。
少し緊張した面持ちが新鮮で、きっと素直で良い子なのだろうと好印象だった覚えがあるわけが。
疑問が１つ。
何故、彼がここにいるのかという点だ。
新兵くんは彼、ディートフリートの隊であるわけだが彼の隊は午前は内勤の予定であったはず。ここにいるのはどう考えても不自然なのだ。
「午前は内勤だったはずだが？」
「予定が変更になりました！」
「…聞いていないが」
「もしかして、私たちをドロッセルまで送ってくれるのかしら」
びくりと委縮する少年の表情が明るくなるのを見るとどうやら彼女の予測は外れていないらしい。
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湊(プロフ) - ユキさん» 初めまして、コメントいただきありがとうございます。少しでも作品の素晴らしさをお伝えできるよう今後とも頑張らせていただきますので、どうぞよろしくお願い致します。 (2021年10月31日 11時) (
レス) id: ab18fde111 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 初めまして。素敵なお話をありがとうございます！ (2021年10月30日 13時) (レス) id: fb083d1d07 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - 小桜さん» そんなそんな。こちらこそお待ちいただけるということ程、本当に心強いことはなくて。こちらこそ、本当にありがとうございます。 (2020年12月27日 20時) (レス) id: ab18fde111 (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - 更新ありがとうございます！本当に素敵な作品です！これからも更新待っています!! (2020年12月27日 9時) (レス) id: 67fd5c2fc4 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - れいさん» 初めまして。あたたかいコメントいただき私も胸がいっぱいです。お手に取っていただき、そして素敵なお言葉をかけてくださり心から感謝を。引き続きお楽しみいただけるよう精一杯頑張らせていただきます。コメントいただきありがとうございました！ (2020年12月27日 9時) (レス) id: 83bbd53189 (このIDを非表示/違反報告)
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