【薄桜鬼】華には なれない・続

第四十九話 ページ9

風の噂を頼りに来たのは…もうすぐ戦場となる場所。


ここに来るまでに何人もの人に止められたけど、それを笑顔で受け流してここまで来た。


…あの人が、いるかもしれない。


可能性があるなら、私はどこへだって行く。


けど、あと三刻もしないうちにここは戦場に変わると思うと震えが止まらなかった。


だって、私も殺されるかもしれないから。





　ﾄﾞｸﾝ…ﾄﾞｸﾝ…ﾄﾞｸﾝ…ﾄﾞｸﾝ…





「にゃー」

「!?」

猫…!?

「…ここは危ないよ。あっちへ…もっと遠くへお行き。」
「シャーッ!」

近付くと猫は威嚇して。

「いたっ…。」

猫は私をひっかいて、どこかへ行ってしまった。

…逃げてくれたならいっか…。





　ﾄﾞﾝｯ!!!ﾄﾞﾝｯ!!!

大砲の音。

同時に、敵陣に乗り込む勇ましい声が聞こえた。

「…!!」

戦が始まったんだ…。






　ｷﾝｯｷﾝｯ

　ﾄﾞﾝｯ


金属音に、銃声。



　「ぐああああっ」

　「どうか…。どうか命だけは……あああああっ!!!」


人が、…倒れてく。




私は茂みに隠れ、じっとしていた。

戦場と言えど、中央ではないからあまり近くから声はしなかった。

それでも、そういった声や音は耳に聞こえてしまって。

聞きたくなくて、必死に耳を塞いだ。



駄目だ…。



直感的に思った。

このままここにいれば、私が壊れる、と。


そう思った時、




足音が、近付いて来た。



　

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