【薄桜鬼】華には なれない・続

第五十五話 ページ15

原田視点


「くっそ、こいつら……！」


そこらからうじゃうじゃ湧いてくる敵。


羅刹だった。





逃げる奴もいれば、



ここで逃げるは武士の恥、とか言って真っ向から羅刹に斬りかかり哀れな死を迎える奴もいた。



…確かに、そういう奴は武士として誇らしいと思う。



でも俺は…




「おい、新八…。これじゃ埒が開かねえよ。」
「ってもよ、左之!」


次々と羅刹たちを斬り倒していく新八。


だがあいつもそろそろ体力の限界だ。


「俺が道を開く。その隙に退くぞ。」
「!? 逃げるのかよ!?」


新八は武士だ。逃げるのは嫌なんだろう。


けど



「こんなところで捨てる命じゃねえだろ」



武士として、戦場で最後を迎えるのは誇らしいことだ。



でも俺達にはまだ果たすべきことが山程ある。



…それに、



「…っ……。」



俺にはもう待ってくれる人はいないとしても



やっぱり心のどこかで願っちまうんだ。



もう一度、会いたいって。





＊


とりあえず、土方さんとこまで走る。


その途中だった。


逃げた敵の残党が茂みの中にいた。


放っておいてもいいかと思ったが、


そいつの足元に見えたのは


…女……?



｢…?｣
｢どうした?｣
｢ああ、すまねえ。ちょっと先に行っててくれ。｣
｢? …わかった。すぐ来いよ!｣


新八を先に行かせてその場に留まった。



何でこんなとこに女が?



疑問でいっぱいだ。




近付いて、女の顔を確認した瞬間、目を見開いた。






なんで。



お前が来る場所じゃねえって。




だから置いてきたのに……!!







( A……!! )

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