検索窓
今日:13 hit、昨日:1 hit、合計:24,974 hit

19 話 ページ20

「…俺は、また選べなかった」


ボソッと呟いたその言葉は俺まで聞こえてきた。

また、か。

恐らくまたAの優しさが出てしまったのだろう。


「俺気付いてたんだよ。
あいつらが朝から、黒尾への態度が違うってことを。

何かあると直感した。
でも迷った。
黒尾とあいつらを選べなかった。最低だよな。

俺は現実から逃げようとしたんだよ」


なんとも言えないような顔でそう言うA。

こちらを向くのが怖いのか、下を向いている。

むかつく。凄ぇむかつく。

怒りがたまっているのがわかる。
こいつは何もわかってないんだ。


「結局俺の所為で黒尾を傷つけた。
俺が決断できていればこんなことにはならなかった。本当にゴメン」


"ゴメン"と聞こえた時点で俺の堪忍袋は切れた。

何も分かっていないこいつに分からせてやらないといけない。



「何がゴメンだ。

お前はあいつらと縁を切ると言ってくれた。俺のためにだ!
そんなことをしておいて何が選べなかっただ!

俺が傷つこうが関係ない。
お前は、ちゃんと選択出来たじゃねぇか」


少し腹が痛むがそんなことは関係ない。

今はこの馬鹿に教えてやらないといけないのだ。

何故、こんなにも一人で背負うのだろうか。


「なんでそんなに自分を追い込む?
もういい加減、自分を認めてあげればいいんじゃないの?」


俺の言いたいことは全部言い切った。

Aには届いただろうかと思い、見てみると。
何と、笑っていた。


「おい、なんで笑ってんだよ」

「だって黒尾がこんなこと言ってくれるなんて…」


もはや笑いながら言っている。

そこまで面白かったのか。相変わらずツボのおかしい奴だ。


俺の見間違いかもしれないが、若干目が潤んでいたのは本人にも言わないでおこう。

20 話 一歩→←18 話 進めるか



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
36人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 黒尾鉄朗 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かミエ(プロフ) - ヒグレキさん» 黒尾がいる限り、きっと彼は幸せですよ……(`・ω・´) (2017年11月22日 17時) (レス) id: 450affa156 (このIDを非表示/違反報告)
ヒグレキ - とっても良い物語だったわ!夢主くんは幸せになったかしら、、 (2017年1月21日 8時) (レス) id: 3bbc5d11c3 (このIDを非表示/違反報告)
かミエ(プロフ) - √0さん» ありがとうございます。そんなことを言ってくださるとは…! はい、これからも努力させていただきます! (2016年12月11日 21時) (レス) id: c1f7ffbfd5 (このIDを非表示/違反報告)
√0(プロフ) - 初コメ失礼致します。とても感動するストーリーでした‥‥!この様な文章を著す事の出来る作者さんに、感銘を受けました!これからも頑張って下さい! (2016年12月1日 7時) (レス) id: a171e3b181 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かミエ | 作成日時:2016年10月24日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。