20 話 一歩 ページ21
「黒尾、ありがと」
そう笑顔で言うAはやはり他の奴とは違う魅力がある。
「…俺もありがとな。助けに来てくれて…」
「黒尾がお礼言うなんてめずらしい。
明日は大雨か…」
「人が感謝してんだからありがたく受け取れよ」
.
しばらく休んでいると喉が渇いてきた。
「喉が乾いた」と言えば呆れながらも水を持ってきてくれた。
こいつ、まるで夜久のようだ。
いい母さんになるな…。
「俺、黒尾から離れられないかも」
「ぶッ」
急に訳の分からないことを言い出したので思わず吹いてしまった。
「おい汚いぞ」と笑っているがお前の所為だと大声でつっこんでやりたい。
「…俺のこと、こんなに考えてくれる奴なんて今までいなかったから」
「…ばぁか。
俺の方が離れられねぇよ」
「あ、勿論友達で、っていう意味だからね」
「分かってるわ!」
Aは俺の思っているいい奴ではなかった。
しかし、偽善者でもない。
こいつは完璧ではなかったってことだ。
人一倍考え、苦しみ、辛い思いをし、完璧に近づこうとしていたんだ。
唯一確実に言えることは優しすぎること。
優しいからこその悩み。
彼はいつもそれで悩んでいたのかもしれないが、俺にとっては知ったことではない。
なぜなら今日。
Aは俺のことを選んでくれたから。
それはAも、俺も確実に一歩進めたということだろう。
他人からすれば小さな一歩。
でも俺たちにとってはとても大きな一歩となった。
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かミエ(プロフ) - ヒグレキさん» 黒尾がいる限り、きっと彼は幸せですよ……(`・ω・´) (2017年11月22日 17時) (レス) id: 450affa156 (このIDを非表示/違反報告)
ヒグレキ - とっても良い物語だったわ!夢主くんは幸せになったかしら、、 (2017年1月21日 8時) (レス) id: 3bbc5d11c3 (このIDを非表示/違反報告)
かミエ(プロフ) - √0さん» ありがとうございます。そんなことを言ってくださるとは…! はい、これからも努力させていただきます! (2016年12月11日 21時) (レス) id: c1f7ffbfd5 (このIDを非表示/違反報告)
√0(プロフ) - 初コメ失礼致します。とても感動するストーリーでした‥‥!この様な文章を著す事の出来る作者さんに、感銘を受けました!これからも頑張って下さい! (2016年12月1日 7時) (レス) id: a171e3b181 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かミエ | 作成日時:2016年10月24日 21時