41 ページ46
智
振り向いた翔くんは驚きと絶望が入り混じった顔をしていた。
翔「…どうし…て?」
その口元と手は恐らく血と思われる赤色の汚れがついていた。
隣でヒュッと和が息を呑む。
それに気づいた翔くんは乱暴に口元を拭った。
智「翔…く…。」
俺が言葉を発せないでいると、翔くんは俺の両肩を掴んできた。
翔「ねぇ、今さっき来たばっかだよね…?たまたま皆居合わせただけで…。…そうだって言ってよ!智くん!!!」
ギリッと手が肩に食い込む。
その懇願するような最後の望みに縋るような顔が直視出来ず、俺は思わず下を向く。
智「…ごめん。大学を出たところから…ずっと。」
翔「……つけてたんだ。」
今度こそ翔くんの顔が絶望に染まる。
ゆっくりと肩から手が滑り落ちると、そのまま俺たちから距離を取るように後ずさっていく。
和「違うんです、さとにぃは悪く無いんです!私が最初に言ったんです!なんか危ないことに巻き込まれてるんじゃないかって!」
潤「いや、俺だ!俺がスーパーの人から肉を大量に買って行ったって話を聞いて…!」
雅「皆翔ちゃんが心配だったんだよ!…ねぇ、どうしちゃったの?生肉を食べたくなるくらい、ストレス溜まることがあったの?」
潤「そうだよ、俺たちもサポートするからさ。溜め込まないでよ!」
必死で弟たちが呼びかける。多分現実を直視したくないんだろう。
何かストレスで食の好みが変わったってそういう方向にもっていきたいのかもしれない。
でも大量の肉、血の汚れ、最近減った霊の数、そして現れなかった鬼。全てが物語っていた。
多分それは考えられる中で最悪の……。
翔「フフッ…、アハハ!やめろよ、全部分かってるくせにさぁ。」
翔くんはあきらめたように笑う。
次の瞬間
翔くんの纏う空気が変わった。
あっという間だった。
額の右側からは角が一本、鋭い爪と牙、赤く染まった瞳。
そこにいたのは紛れもなく「鬼」だった。
和「なんで…、なんでなんですか…?」
信じたくないといった表情で首を振る和。
他の二人は声も出せないみたいだった。
そんな俺らを怪しく笑いながら見つめ返す翔くん。
智「負のオーラなんて無かったじゃないか!」
鬼は人がとてつもない量の負のオーラを貯めこむと成るはずだ。じゅあ、なぜ…?
翔「皆が先祖返りしてたように、俺も先祖返りしてたんだ…!負の感情を表に出さずに溜め込める力…。言い方を変えると鬼になる才能。」
鬼になる才能…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とうこ(プロフ) - いつも楽しく拝読させて頂いています！4か、5か…の間？のような感じで、4人でSさんの力を小さくし、小鬼？くらいの能力に抑えながら、永く同じ時間を過ごしていく…みたいな感じもどうかな？と思いました。どんな結末になるか楽しみにしています！ (2021年12月19日 19時) (
レス) @page49 id: d6b414cbbc (このIDを非表示/違反報告)
花序(プロフ) - はじめまして。いつもひっそり楽しく読ませていただいております！わたしは5を希望します。先に寿命を迎える事は悲しい事ですが翔くんの心が4人によって浄化されたらいいなと思います。そしていつかまた何らかのカタチで再会できたら幸せですね。 (2021年12月18日 20時) (レス) @page49 id: 9d25e37658 (このIDを非表示/違反報告)
まさきっち - 私は4を希望します (2021年12月16日 12時) (レス) @page49 id: 61f762c73c (このIDを非表示/違反報告)
翠奈 - ４です。でも、いつかまたあおうねってかんじでおわかれがいいです。できれば、１年後とかに４人の能カも消えて、翔くんもふつうになって５人でくらすっていうかんじがいいです。色々すみません！！ (2021年12月15日 18時) (レス) @page49 id: 87c0cb4545 (このIDを非表示/違反報告)
夏音(プロフ) - 4 なのですが、数十年後に4人の前に生まれ変わった幼い翔くんと出逢い5人で暮らすとか。ほんのりアンハッピーじゃなくなるといいなぁ。 (2021年12月15日 18時) (レス) @page49 id: 4a8a281850 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：陽方向 | 作成日時：2021年11月1日 11時
