三十八話 ページ38
「・・・え？」
私は今、茫然と立っていた。
此処は定食屋。
何度か来たことがあって、
彼は此処の咖哩飯が好きで、
それで、
親爺さんが死んでいた。
「なん、で、」
―――否、判っている。
ミミックだ。
「―――A」
「織田、さ、」
彼は奇妙に無表情だった。
子供達は、そう云いかけて呑み込んだ。
――――嗚呼、子供達も。
親爺さんの目を閉じ、紙を見てから、
彼は二階へ上がっていった。
暫く経って、彼が降りてくる。
「・・・何処に、行くのですか？」
「・・・」
「死にに行くのですか？」
彼は応えない。
応えずとも判っている。
彼は終わらす気なのだ。
「それが、貴方の役目だと？全てを終わらすことが」
「・・・そうだ」
「私が止めても、ですか」
彼が振り向いた。
また涙が頬を伝う。
私、こんなに泣き虫だった？
彼は僅かに目を見開いて私を抱きしめた。
服越しから伝わる防弾ベストの感触。
嗚呼、矢張り。
彼は行く気だ。
「A、俺はお前を愛している。
だが、その資格ももう、失った様な気がする」
「・・・莫迦ですね。そんな事、資格、なんて、」
在るわけないのに。
彼の抱きしめる腕に力が入るのが分かった。
私も腕の力を強める。
嫌だ。離したくない。離してはいけない。
だけど、
「・・・無駄ですね。引き留めても・・・」
「済まない」
「一つだけ」
「何だ？」
「貴方の事、想い続けても善いでしょうか？貴方の事を、」
――好きでいても善いでしょうか？
その言葉は最後まで続かなかった。
彼に塞がれた。
「・・・当たり前だ」
彼は私を離し、出口へと向かった。
私は力無く座り込む。
太宰幹部の声が聞こえた。
「.....ばか、」
_______初めての
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Smile - 読んでてとても楽しかったです！！！続編待ってます (2018年1月16日 20時) (
レス) id: 7981af13dc (このIDを非表示/違反報告)
団子 - 続編読みたいです!頑張って下さい! (2017年11月11日 16時) (レス) id: 565b1876f3 (このIDを非表示/違反報告)
サラ - すごく面白かったです！織田さんとの恋愛が読んでいて一番印象的でした。続編、楽しみです！ (2017年10月8日 3時) (レス) id: eef365d12e (このIDを非表示/違反報告)
ぐーさん - 初めまして。あもｻﾝ (2017年5月30日 23時) (レス) id: 18ff760733 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - この作品、何回も読み直すくらい大好きです！！主様、頑張って下さい。 (2017年3月31日 22時) (レス) id: f4f41de96b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あも | 作者ホームページ：
作成日時：2016年12月31日 18時
