十五話 ページ15
私は一人、霧の濃い路地裏を歩いていた。
後ろから、殺気。
何時も感じていた殺気。
―――居るな。
そう思った次の瞬間。
「!」
黒い物が頬を掠める。
ぎりぎりだった。
危なかった。
反射神経は善い方。
「物騒ですね。…何でしょうか?
_____芥川龍之介さん」
「・・・気付いていたか」
「殺気駄々漏れですよ・・・」
舌打ちが聞こえる。
後ろを振り向いた。
真っ黒な外套を着た少年が立っていた。
「何か御用ですか?」
「何故…」
「はい?」
「何故、貴様が太宰さんと親しく話しているのだ。
強くも何ともない、下級構成員が、何故?
何故太宰さんは、僕に決して向けない顔を、貴様には向けるのだ。
何故、何故何故?
_____女の癖に」
その言葉と同時に獣が私に向かってきた。
「――――"女の癖に"?」
聞き捨てならない。
「私はそういう男尊女卑は大嫌いなんです。
女だからって舐めないで頂きたい」
「!?」
黒い獣は私の目の前で氷漬けとなった。
ピキピキ…
どんどんどんどん、凍っていく。
芥川は困惑した表情となった。
「女の癖に。
どうですか?
その女にこうして動きを封じられるのは」
芥川は氷の鎖で縛られていた。
「・・・私はこのまま貴方を殺す事が出来る。
貴方の異能も使えなくて、どう?
_____試して見る?」
「っ・・・!」
芥川の顔に僅かに恐怖の色が浮かんだ。
私の手には氷柱が浮かんでいた。
一寸手を動かせば芥川は死ぬ。
だけど。
「ま、これに懲りる事ですね」
「・・・」
すうっと氷柱が溶けていく。
そして水が下に溜まった。
「その拘束は時間と共に溶けますので」
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Smile - 読んでてとても楽しかったです!!!続編待ってます (2018年1月16日 20時) (レス) id: 7981af13dc (このIDを非表示/違反報告)
団子 - 続編読みたいです!頑張って下さい! (2017年11月11日 16時) (レス) id: 565b1876f3 (このIDを非表示/違反報告)
サラ - すごく面白かったです!織田さんとの恋愛が読んでいて一番印象的でした。続編、楽しみです! (2017年10月8日 3時) (レス) id: eef365d12e (このIDを非表示/違反報告)
ぐーさん - 初めまして。あもサン (2017年5月30日 23時) (レス) id: 18ff760733 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - この作品、何回も読み直すくらい大好きです!!主様、頑張って下さい。 (2017年3月31日 22時) (レス) id: f4f41de96b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あも | 作者ホームページ:
作成日時:2016年12月31日 18時