【文スト】中原さんに貰われました。【中原中也】

花十五輪* ページ35

「・・・・真逆、本当に・・・？」

「ええ。おめでとう御座います。妊娠三ヶ月ですよ。」

「三ヶ月・・・」

自分のお腹にそっと手をやる。
この中に、居るんだ・・・。
光里の時は、何だか実感が湧かなかったけれど、今は判る。
此処に、居る。

「ママ？」

帰り道。
光里の手を引き、家へと帰る。

「光里、あのね、光里はもうすぐお姉ちゃんになるんだよ。」

「おねえちゃん！？ママ、本当！？」

「うん。」

「やったぁ！おねえちゃんだぁ！！」

無邪気に笑う光里。
少しだけ、憂鬱になる。

お腹の中にいる子は、私と中也さんの子供。
だけど、光里は別の男との子。

中也さんは優しいから、きっと、どちらも同じくらい愛してくれる。
私だって、そのつもりだ。

だけど、子供たちは？

この子が全てを知ってしまったときが来るのが怖い。

今、全てを打ち明けるべきだろうか。三歳の子に。

「ママ・・・？」

「光里、」

貴女はね、パパの子じゃないの・・・。

なんて、そんなこと、云える筈もない。

私はどうすれば良いの？

▼▼▼

「ただいま」

「おかえりなさい。・・・あのね、話があるの。」

「ん？何だ？」

「光里が寝た後で・・・」

「？嗚呼。」

△△△
「それで？話ってのは・・・」

「うん・・・あの、ね、」

すうっと、深呼吸して、口を開く。

「赤ちゃんが・・・出来たの。」

「・・・は？」

中也さんは目を見開いて、暫く動きを止めた。

「ほ、本当か？」

「うん。妊娠三ヶ月だって・・・」

「・・・・そう、か・・・」

中也さんは私を見つめ、それから優しく笑った。

「ありがとな。」

「っ・・・・うん、」

「光里も喜んだだろ？」

「・・・そうなの。だから、伝えられなくて。」

「何をだ？」

「光里の、本当の父親のこと。」

「・・・あー、成る程な。

けど、別に云わなくても良いんじゃねぇか？」

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