いつつめ ページ6
「そーちゃん、」
ベッドの上の姉上は掠れた声で俺を呼んだ。
差し出された手を、両手で握る。
まだ、温かい。
「あね、うえ・・・」
「ごめんねぇ...。おねえちゃんもミツバと同じように、あなたを置いてかないといけなくなっちゃった。」
「そんな、」
「もう・・・・だめみたい。」
「そんなこと、言わないで、」
「ミツバと、約束したのにね。
ミツバのかわりに、そーちゃんの成長をみとどけるって・・・
でも、もう、むりだね・・・」
「あねうえっ・・・!」
手を、強く、強く握りしめる。
だけど、握り返されたその力はとても弱い。
「そーちゃん、なかないで・・・。
あのね、そーちゃん・・・
・・・そうご、おねえちゃんの目をみて、
ちゃんと聞いて。
あなたのことがだいすきよ。あいしてる。
いじわるでも、ひねくれてても、それでも、
あなたは大切な弟だから・・・。
おねえちゃんはしあわせだよ。
おいていっちゃうのは、ほんとうに、ごめんなさい。
だけど、あなたはひとりじゃないから、
おねえちゃん、心配してないよ。
だからね、
いちばん、だいじな、さいごのおねがい。」
「・・・なんですかィ?」
「そーちゃん、あのね、」
「************」
『お願い』を告げた姉上の呼吸はだんだんと弱くなっていった。
「姉上っ!!」
「いやだ、待って、俺を置いてかないで、
姉上....」
姉上の手は、もう、握り返すことはなかった。
─────────
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白雪 - 泣いてしまいました。とても素晴らしい作品です。 (2019年8月8日 19時) (レス) id: 03f6bf06e7 (このIDを非表示/違反報告)
山乙女 桜(プロフ) - なんだこれ素晴らしいかよ (2018年8月6日 17時) (レス) id: c43285d175 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - 面白かったです(泣)銀魂の兄弟、家族系大好きなのでめっちゃ面白かったです!これからも頑張って下さい! (2018年8月6日 0時) (レス) id: 98b8c85960 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あも | 作者ホームページ:
作成日時:2018年8月5日 21時