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(まさか、浮気……!?)
と、考えてブンブン首を横に振った。そ、そんな訳!!
だってまだ付き合って一ヶ月も立たないし!!まずまず、一虎くんにそんな都合のいいお相手がいるのかすら……いや、あの人ならあり得るかも。交友関係広そうだから、そーゆー可能性は否めない〜!!
(とにかく、この子はいったい誰なのっ)
楽しそうに笑う一虎くんの横顔が見えて胸が錐で刺された気分になった。ちょっと……そんな笑顔見せないでよ。
その隣りにいるのは私だけの特権だと思ってたのに……なんて言ったら、縛りが重いだろうか。
ともかく、泣きそうになるのを堪えて、二人の後を追いかけた。飛び出して行って文句を言う勇気はないけれど、このまま、このトンデモ状況を、野放しにすることはできなかった。
(この先、ちょっと薄暗い……)
少し忌まわしいお揃いの白ジャケットを追いかけていくと、一虎くんたちは路地裏に入った。
距離を開けて歩いていたので見失いそうになって慌てて角まで走ったが、その先に二人の姿は見当たらない。
いなくなった……?
「誰だオマエ」
その瞬間、低い声が耳元で聞こえて腕を急に後ろに引かれた。きゃっ、と高い声が出るも虚しく、すぐに近くの壁に押し付けられて、焦茶の眼光に射抜かれた。
視界いっぱいにうつる人物に、目が丸くなる。
「ぁ……」
黒髪の、男の人だった。
肩まで届いた長い髪と、左腕に赤いタグのつく白ジャケットは、私が先程怪しんだ女の子のもので、まさかの勘違いに、戸惑ってしまう。
「さっきから俺らをつけ回して、ナニが目的だ?」
「あ、えっと……」
しまった、どうしよう。
誤解をうんでしまった上に、説明がものすごく難しい。失礼すぎて、彼氏の浮気相手かと間違えました、とはとてもじゃないけど言えない。
そう吃っていたとき、あれっ?と拍子の抜けた声がした。
「もしかしてA?」
驚いた顔で、黒髪さんの後ろから、ひょっこりと出てきたのは……
「か、一虎くん〜!!」
安心して思わずくしゃりと顔を歪ませると、今度は黒髪さんが目を丸くさせる番だった。
「は……一虎の知り合い?」
「おう。俺のカノジョ」
「か、彼女!?」
「ちょっと場地そこどいて」
今更ながら壁ドン状態になっていた黒髪さんを押し退けて一虎くんが私の前に来ると、「ここで何してんの?」と問いかけられた。
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