忠義の程は……Ⅰ【あんスタ】 (ページ4)

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2.スイーツ会ページ4

　
　
　
　
日曜日の昼下がり，ESビルの近くにある喫茶店でスイーツ会の5人が集まっていた。
　
「では，どうぞお召し上がりください。とろけるようなしっとりとした生地に程よく甘いクリームが」
　
「うん，兄上らしい上品な味ですね」
　
「Goddamn!!まだ私が話している途中でしょう!!」
　
それはわしの先輩の台詞や，とこはくは心の中でつっこむ。終わりが見えそうにない司の食レポのしびれを切らしたAは，早々に目の前に並べられたシフォンケーキへ口をつけた。そして司の食レポをぶった切りにして感想を言う。司の事を褒めてはいるが，このタイミングで言ってしまうと効果がない。
　
「そやなぁ……このパンケーキ，クリームべっとりついてるわけとちゃうのに甘いな…」
　
「シフォンケーキと言ってください」
　
西洋の菓子に疎いからか，あるいは普段朱桜兄妹に「西洋かぶれ」と言っている為今も嫌味を込めていったのか，シフォンケーキの事を「パンケーキ」と呼んだこはくに対し，司はすかさずつっこむ。そして，先程から何も言わずに笑顔で朱桜兄妹とこはくのやり取りを見続ける男が二人……
　
「はぁはぁ…今日もお三方は可愛いらしいですねぇ♪浄化されて消えてしまいそうですぅ…あぁ，これぞ天使たちの戯れ……♪ずっと見ていたいですぅ」
　
「ふむ，今日も三人は仲が良いですね。"礼瀬さん"少しその荒い息を鎮めて貰っても??」
　
「あぁぁぁ申し訳ございません!!!で，でも彼らを見ていながら止めろとは新手のごうも，ﾋｨｨｨｨはい！静かにします!!」
　
「新手の拷問」だと言おうとした瞬間，隣のHIMERUの手元からバキバキと何とも痛々しい音がした。見ると彼の手元に握られたガラスのコップに大きなヒビが……一つ，二つ……三つほど。
　
「HIMERUさん，落ち着いてください。さぁ，この私が紹介したシフォンケーキをたっぷり味わってもらったところで…次回のスイーツ会のお話でもしましょう」
　
「次のスイーツ会は，嬢がお店紹介してくれんねんな？」
　
「えぇ，私がお勧めの和菓子店をご紹介しましょう♪」
　

「和菓子」という単語をきき顔に花を咲かすこはく。Aはそれを見るとクスリと笑い，咳ばらいを一つするとマヨイ達の方へ向き合った。
　
「しかし，そこの和菓子店には飲食スペースがないのです。ですから，そこの和菓子店でお菓子を買い，その後寮近くの公園でピクニックというのはどうでしょう！」
　