【カラ松】この吹部、同じ顔が五つあります【おそ松さん】

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「honey、部活に行こう！」

カラ松先輩はまた教室の前で待っていた。

「すみません。先輩は私の名前を覚えていないんじゃないでしょうか？」

そんなわけないと分かっていても聞いてしまう。

「覚えているさ、晃。いい名前だなmy honey」

こんなことをサラッと言ってのけるところが何と言うか……。

気を取り直して私は自分のロッカーへと向かった。

「honey？帰らないでくれっ」

でも、私はいつもとちょっと違う。

「はいはい。部活には行きますから大丈夫です」

用意していた『あれ』を準備する。

「トランペット吹くのか？」

「持ってきましたよ。マイ楽器」

昨日あらためてぴかぴかに磨いておいた綺麗なトランペットを黒いケースから取り出した。

「先輩、じゃあ音楽室に行きましょ――」

「ここで吹いてくれっ」

カラ松先輩が言った言葉がにわか信じられなかった。

「……え？」

「俺の為に吹いてくれっ」

「分かりました」

一人でしか吹いてこなかったから、目の前がカラ松先輩だけでも緊張する。

息を大きく吸い込み、教室で吹き始めた。





アーバン作曲 輝く雪の歌による変奏曲

主題と三つの変奏、finalで構成されているこの曲は私のお気に入りの曲でもあり、因縁の曲だ。





最後の音まで吹ききったあと、ゆっくりと楽器から口を離す。

カラ松先輩がしばらく黙ってしまった。

そういえば、人前でしばらく演奏していない。

こんな光景を見たのも久しぶりだ。

「……晃、上手いな」

ぼそりと言って続けた。

「隠しているなんて反則だ。俺になんで黙っていたんだ？」









私は数分間の沈黙が気まずくなって言う。

「理由があるんです。吹奏楽部に入りたくなかった理由でもありますが」

「もし良かったら、俺に聞かせてくれないか？」

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