＃1 問題は、弟 ページ2
「なぁ、恭也！投稿文できた！」
「却下。」
「まだ見てないのに！？」
どうも、こんばんは。みんなのアイドル、達也くんでっす！
……ごめんなさい、ちょっと調子に乗りました。
はい、改めまして初めまして。双子の弟、達也です。
突然だけど、おれの愚痴を聞いてほしいな。
このおれが。動いてなきゃ死んでしまうこのおれが！
一時間も机に向かってパソコンとにらめっこして作成した渾身の動画の投稿文を！
無慈悲な兄は、見る前から却下してくるんです、なぜ！！？？
「なんで却下すんの。いい投稿文かもしれないだろ。てか、本当にいいんだって！」
「誰の作る投稿文がいいものなんだよ。」
「おれの作る投稿文が。」
「寝言は寝て言え。」
頑なにおれの投稿文を拒否する兄。
そんなにおれの投稿文が信用ならないのか。なんでだよ。双子じゃん。同じ腹から同じ日に同じように生まれてきたじゃん。いったいどうしてなんだ。
「とりあえず読んでよ。それから、いいかどうか決めればいいだろ。」
「見るまでもなく、それはろくな投稿文じゃない。」
「なんでそんなこと言うのさぁ！？」
おれの投稿文は今まで素晴らしいものしかなかったじゃないか。
初投稿のやつだって、コメントで「主コメワロタｗ」とか、タグで「主コメ」ってつけられるくらい好評だったんだよ！？
よし、こうなりゃもうヤケだ。
さらに改良を加えて、勝手に投稿してやる。
「おれってば、天才じゃね。」←
あのやり取りから数分後、そんな言葉とともにマウスの左クリックをカチリと押した。
そして、世に送り出される我が投稿文。
あぁ、素晴らしきかな。
これできっと恭也も喜ぶことだろう。
＊ ＊ ＊ ＊
チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ！ 双子狐が歌いました。
この教室内に生き残るのは、妖狐の魂を宿し我らの肉体のみ！
我が右手に宿りし九尾の狐の力で、貴様ら人間など密告して抹殺してやろう。
さぁ、今こそ解き放たん、秘められし最終奥義、
『チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダッダッダぁぁ〜〜！！』
素晴らしい本家様…
Mix…
Vocal…
＊ ＊ ＊ ＊
「なに勝手に投稿してんの。」
「めっちゃよかったでしょ。」
「あぁ、思った以上の出来だった。オレは今日ほどおまえの兄であることを後悔した日はない。」
「なぜっ！！？」
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作者名：千夜 | 作成日時：2018年1月21日 21時
