一周まわってヤキモチは妬かない/FK

おでんわ ページ4

【Y】
　
　「いいの？今日の相手が俺で」
　
　向かいでサシ飲みに付き合ってくれている俺の親友。
　
　今日、みっちゃんがMCを務める番組の収録が行われた。
　きっと今、彼なりに反省や復習をしているに違いない。
　
　「失敗して落ち込んでるかもよ、構ってやんなくていいの？」
　
　そんな夜のお相手が俺でいいわけ？
　
　
　いったい誰の話をしているんだと思うかもしれないけど、もうすぐ３２歳になるうちの最年長の話をしている。
　
　みっちゃんはああ見えて相当な寂しがり屋さんだ。
　そして太輔はみっちゃんのそんなところも好きらしい。
　
　「うん、大丈夫。」
　
　それなのに、太輔は当たり前のようにそう言う。
　
　「あ、でももう11時だ。電話だけさせて」
　
　太輔はそう言ってみっちゃんに電話をかけた。
　
　「もしもし、宏光？」
　
　「うん、うん、おつかれさま。今日は何がいちばん楽しかった？」
　
　..ん？
　今日は何がいちばん楽しかった？って、なんだ。
　
　そんな俺の疑問はよそに、会話はどんどんと進んでいく。
　
　「そっか。良かったね。じゃあ嫌だったことはあった？」
　
　そう紐解いて聞いていく太輔の表情は、溶けてなくなりそうなくらい優しかった。
　

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