触れられたくない愛/FK

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【Ki】
　
　「っん、ぁあっ、ゃ、」
　
　家に入った途端、甘く噛みつくような猟奇的なキス。
　でも、自分本意じゃなくて、すごく、すごく気持ちいい。
　
　「いつもより感度良くない？」
　
　私服の藤ヶ谷さんが想像よりも何倍もかっこよくて、直視できそうにもなかった。
　
　「そんなことな、っぁあっ、ゃ…ふじがやさ、ここ、玄関っん」
　
　俺が必死にそう言うと、当たり前のように俺を姫抱きして、当たり前のように寝室へと進んだ。
　
　寝室までの道のりでも、ひたすら繰り返されるキス。
　でもそれは触れるだけのキスで。
　
　「した、いれて、っん」
　
　ベッドについてすぐに、そうねだった。
　
　「いつからそんなえっちな子になっちゃったの？」
　
　でも、あげなーい、って、藤ヶ谷さんは舌を引く。
　
　「ゃあ、んっ…んぅ」
　
　俺が藤ヶ谷さんの頭を抱えて無理やり舌を入れると、藤ヶ谷さんは俺が近づいた分比例して離れた。
　
　なんで、ってまたくっつこうとしたら
　
　「俺、仕事の後輩とこんなことしてる気ないんだけど」
　
　って、真っ直ぐな目をしてそう言われた。
　
　
　ああ、なんて都合の良い関係。
　そう、思った。
　
　それでも俺は、
　
　「太輔………ちょうだい、もっと…」
　
　言ってしまう、都合の良い男。
　

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