自分可愛さに自分を守る。 ページ38
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｢それで結局、ハルに八つ当たりした…！ハルのことを吹っ切るとか言って、ハルに最低なこと言った！
ごめん、違う、違うの、私は、私は…！私は、ちゃんとハルと！
友達でいたかった、だけ、なのに…！｣
いつの間にか、ハルとは別の方向を向いて空笑いしていた。嘲るような声が足元から聞こえてきて、どうしようもなかった。
友達でいたい。そんな感情が、大きな鞄に詰められて隠された。
外面だけの友達をやっている振りをして、本当はハルに離れないで欲しかった。なんだかんだハルの手を掴んでいた。
振り向きもせず、手だけを掴んで、依存していた。ハルの存在を貶すことで、自分の正当性を確かめていた。それでもハルが私に笑いかけるから、大丈夫、拒否されてはいない、まだ大丈夫だと安心していた。
それでも、ハルを嫌いだと思ったことは事実で。でも、ハルと友達以外にはなりたくない。
都合の良いことだと思う、自分でも。でも、それでも。
｢離れて、いかないで…｣
自分から突き放したとしても、離れないで欲しかった。
自然と涙が頬を伝う。溢れ出す。崩壊した涙腺。打ち寄せる感情。
離れないで、どこにも行かないで、違う、友達にならなきゃ良かったなんて嘘だから、だから、離れないで。
手繰り寄せた。必死に、人の繋がりの糸を。何をどうすることも出来ないで、結局私は弱虫で。
強がってただけの、弱虫で。
｢ごめん、違うの、違うから…お願い、離れないで、嫌わないで…！｣
ハルの顔が歪んでいく。涙のせいで、前が見えなくなっていく。
ボタボタと、机に涙が垂れる音がする。
｢…Aは、どうしたい？｣
優しい声が、脳を駆け巡る。
どうしたい。どう、したい…？私は、何を、どうしたい？
どんなにハルを嫌いでもハルから離れなかったのは、居場所がなくなるからじゃない。一緒にいる人がいなくなるからじゃない。
そんなんじゃない。
結局、私は。
只管、私は、結局さ、
ただ、ただ。
｢ハルと、友達で、真友でいたい…！｣
それだけで、充分なんだ。
どれだけ劣等感を感じても、どれだけ嫉妬を蓄えても。
結局。
｢ハルが、大好き、だから…！ハルと、友達じゃなくなるのは、嫌だ…！
ごめん、ごめんなさ…！ハル、ハルと、ただ、友達に！｣
それは確かな本音だった。
今まで認めようとしてこなかった、くだらない、分かりきった本音。
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はるか(プロフ) - この作品のことではないんですがブスの愛で方はもう公開されないんでしょうか？ (2023年2月25日 13時) (
レス) id: aa3e2fb3e0 (このIDを非表示/違反報告)
サラミ - なんかもう…本当に胸が痛かったです…なんでそんなに感動する文章かけるの…？という感じでした。辛いし、気持ちが凄くわかるし、頭がうああってなって(語彙力)気づいたら大号泣していました。本当に素敵なお話をありがとうございました。 (2023年1月18日 22時) (レス) @page50 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 北さんもいい……！ めちゃくちゃにやけました！ (2022年10月23日 0時) (レス) @page50 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
お布団 - 何回ワシをにやけさせんねん！！ (2021年11月28日 10時) (レス) @page50 id: e77bb3532f (このIDを非表示/違反報告)
リンネ(プロフ) - 私、恋愛をした事なくて恋愛小説をどこか違う世界のものとして読んでました。でもこの小説は、感情移入してしまって雨宮の｢自分が嫌い｣という感情が私と重なって泣いてしまいました。あなたの言葉で救われた気がします。ありがとうございます。 (2021年7月5日 2時) (レス) id: 2b6f27f6e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お水。
| 作成日時：2019年8月16日 11時
