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__「 ……っ左馬刻、大丈夫ですか!?何度も電話をかけたのにとらないので何かあったのかと 」
( ……わわ、物凄く声がおっきい…… )
聞こえてきたのは焦った様な男性の声。
台詞的に、多分この男性と知り合いなのだろう。
電話越しに伝わる大きくてよく通る声だ、聴力のいい吸血鬼にとってこれはかなり響く。
__「 ___左馬刻?聴こえています?」
( ……っあ )
こちら側から何の反応もないので、男性は疑問に思ったようだ。
何か返事をしないと……と僕は慌ててスマホを持ち直す。
『 ……えっと、あの 』
とは言っても、どう説明すればいいのか分からない。
言葉ではなく、とりあえずなにか話す前に咄嗟に出てくる繋ぎとしての文字が零れ落ちた。
その瞬間、相手の男性は沈黙。
暫くして。
__「 ……失礼ですが、どなたですか?」
先程とは幾分丁寧な、だけれど明らかに僕を怪しんでいて警戒している口調で聞いてきた。
( ……っそうだよね、突然知らない奴が出たら怪しむよね……!)
これは早急に状況を説明しなければならない。
ちょっと怖いけれど……深呼吸して口を開く。
『 ……っあ、ごめんなさい!……えっと、偶然このお兄さんが倒れている所を見つけまして……どうしようかと思ったら、お兄さんのスマホが鳴ったんです。もしお兄さんの知り合いの方からかかってきたのなら、お、お兄さんを引き取ってくれるかもしれないと思い、と、とりました……信じて貰えないかも、知れないですけど…… 』
震える声でつっかえつっかえになりながらも、なんとか状況を大まかに説明することができた。
( ……大丈夫かな……信じてもらえたら嬉しいけど…… )
___「 ……分かりました。貴方の言う事を信じましょう 」
『 ……っあ、ありがとうございます……!』
ドキドキしていたら、納得したような言葉が聞こえてきてとりあえず胸を撫で下ろす。
___「 左馬刻……そこにいる男は気絶しているだけで、怪我をしていたりしませんか?」
どうやらこの倒れている男性は、サマトキさんと言うらしい。
彼は数分前は大量出血していたけれど、僕が治癒スピードを格段に上げたおかげで傷跡一つない。
これなら怪我をしていないと伝えても大丈夫だろう。
『 ……あ、はい!怪我はなくて、ただ気を失っているだけだと思います 』
正しくは“今は“が付くけど……大丈夫、嘘は言ってない。
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れん - このお話とても大好きです!これからも頑張ってください(*´∇`*) (11月26日 1時) (レス) @page12 id: 3df412bb1a (このIDを非表示/違反報告)
鴇田まい(プロフ) - 面白いです (2023年4月16日 11時) (レス) @page9 id: cdeb2c3128 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アーシー | 作成日時:2023年3月28日 21時