ＰＭ １２：００ 〔 Ｈ×Ｈ 〕 ...Quwrof...

…遠慮無い視線… ページ21

部屋に甘い香りが充満し始めた。

あれから１時間、創意工夫し考案のA手作りドリンクの真っ最中。


何を入れているのか時々確認しに行った。

基本ベースはクロロが作った珈琲のまま。

先程と同じ様にチョコやマシュマロ、キャラメルと蜂蜜を投入。

加えて栗と苺を擦り潰し、庭にあった葉を入れて煮詰めていた。



「この葉は何か意味があるのか？」


『何かのテレビで見たんだけど、鍋に葉っぱ入れてるの見た事があるから入れてみたの』



ベイリーフに見立てているのんだろうが、どう見てもAが使っているのは全く別物だ。

Aも飲むであろうから毒ではないかスマホで確認したが、人体には無害なものだった。



「さっきよりこう…重みを増してる様に見えるな」



控え目な表現であるがつまりはドロドロだったものが「ドロッドロ」へ進化。



『ジャポンのあんこ？っていうのがあって入れてみたの。 あとジェリービーンズも』


「へ、へえ…」



煮詰め過ぎなドロッドロな飲み物らしきものとは対象的な清々しいAの笑顔。



『クロロも飲む？』


「俺はいい。 今一食欲が無いからな」


『そっかー…残念』



危ない危ない。

Aの笑顔にほだされて、またつい興味本位で口に入れそうになってしまう。



『あ、点滴がもう切れるね。 もう１本足す？』


「いや、ヒソカに笑われるから外してもらえるか？」


『うん、じゃあまた寝る前に打っとくか聞くね』


「すまない」



手を洗い、消毒液と小さなカットバンを用意してスルッと針を抜き後処置もしてくれる。

医療従事者に向いているから今からでも資格を取って病院勤務でもすれば良いのにと思う。



『はい、ここ少し指で押さえててね』


「分かってる」



一日、たった一日なのにAのお陰で随分と楽になった。

点滴のお陰もあるだろうがAの献身が気力を漲らせる。


その時、ドゴッという重みを持った音と何かを引きずる音が玄関からして身構える。

ヒソカのお出ましだ、１時間で来るとかどんだけ全力出してんだとクロロは顔をしかめる。



「ヒソカとは特に喋ろうと気を遣わなくて良いからな」


『う、うん…』



鍋にかけた火を止め２人でヒソカを出迎えに行く。

とは云ってもヒソカは既に玄関を突破しているが。



「久しぶりだねクロロ♧ で…そちらのお嬢さんは？」






ヒソカは目を細め品定めでもする様に遠慮無くAを見る。

獲物を定め、襲い掛かる前の顔で。


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