…重ね合った手… ページ3
冷たい水が流れ込み体に活力を与えてくれるのが判る。
酒や珈琲よりも水が美味いだなんて重症で笑える話だ。
気が付けば女はもう離れていて、当然水はそれ以上流れてこなかった。
適切な量を的確に与える事を熟知している様に思えたのは女の利口な瞳を見たからだろうか。
「…助かった」
『全然元気そうに見えないけれど、今にも死にそうって感じじゃなくなって良かった』
確かに。
歩けと言われても１km先すら行けそうにないのはクロロ自身が一番よく分かっている。
念を封印されてから幾日も歩き続けるだけの日々、岩石地帯の容赦ない日照りと砂埃。
体力には自信があった方だが流石に飲まず食わず念も使えないというのは不便だった。
『…さて、と』
女は立ち上がり岩石地帯を見渡し、ふう、と一息ついて額の汗を拭った。
ここは岩石地帯、女だってまさか途方なく歩いていた訳ではないだろう。
その訳を聞こうとしたが残り少ない体力を温存する為にクロロは黙った。
『こんな所で脱水症状な人に聞くのはアレだけど…助けに来てくれる仲間は？ 連絡取ってあげる』
首を横に軽く振るだけで「ＮＯ」と答えるクロロ。
改めて問われると孤独という闇が胸に広がりゆく。
『そっか…ん〜、まあ…人生そんな時もあるよ』
当然クロロは一生このままでいるつもりは毛頭ないと女を軽く睨む。
しかし団員が除念の事に気が付かなければ最悪このままなのも事実。
そこでふと気付く。
この女の瞳をどこかで見た事はないかと。
失望と絶望も知った混沌と悟りを持つ瞳。
ただの気のせいかもしれない。
街ですれ違っただけの女かもしれない。
飲み屋で偶然見かけただけかもしれない。
記憶に留めた誰かに似ているだけかもしれない。
『私の事そんな睨んでも今の状況は私のせいじゃないと思いますよー』
「…ああ、すまない」
一瞬睨んだ後に女の瞳を凝視していたせいであらぬ誤解を招いていた。
それにしても自分がすんなり謝罪を口にした事にクロロ自身が驚いた。
『さて、貴方は体が万全ではない。 よって私が貴方を一時保護します、異論は全て却下で』
何だその決定事項は。
そうは思いつつ、まともに歩けすらしないクロロはその申し出に反論しないし逃げもしない。
だから自分が盗賊である事も、人を殺める事に躊躇しない人間なのだと言いもしなかったが。
『早いとここんな所、出て行こ』
そう言って差し出された手に自分の手を重ねた。
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みお(プロフ) - あー…ほんとに主様の作品大好きです…。今日一気読みしてもうほんとに好きです(？) (2022年10月2日 23時) (
レス) @page48 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
和花 - 絵めっちゃうまいし、とても面白いです！他の話も読みました！ゆーじさんが描く話、とても大好きです！ (2022年2月9日 14時) (レス) id: 7730c8acb7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - メッセージありがとう〜！もう週明けになっていたとは…時間の流れが早過ぎて驚いた。遅くなってしまって本当に申し訳ないです！スミマセン…!! (2019年2月25日 1時) (レス) id: 48b034f42e (このIDを非表示/違反報告)
kaya(プロフ) - テスト前故しばらく浮上してませんでした...。気づいてなくてすみません(汗)桜の方、ちょっと覗いてみてください。更新はまだ先になります。次の更新も、楽しみにしててください！絶対ですよ！ (2019年2月22日 21時) (レス) id: 504932b45f (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - kayaさん» こんな自分がkaya様を何と呼べばいいのか…!!!?か…かや…kayaさん!!もー本当にイイ子だー…ちゃんと躾されていい友達にも恵まれて素晴らしい人生歩んでいそう。勿論辛い事もあると思うけれどそれでkayaさんの才能を潰さないようにね。kayaさんの夢、叶う事願ってるよ。 (2019年2月20日 1時) (レス) id: 48b034f42e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーじ | 作成日時：2018年11月4日 5時
