…東へ、東へと… ページ2
声を掛けられ、揺さぶられ沼の中かと思う様な意識が浮上していく。
それまで体の痛みも不調も感じずに居られたが声を掛けてくる主は容赦ない。
『しっかり！ どうしよ…どうしよ…』
声の主が言う程に自分の見た目は酷いのだろうか。
どうにも浮上しきれない鈍い意識でそんな事を思う。
それでもいいと思ってしまう位に体力は尽きていた。
クロロは幻影旅団の復讐者…
念を封じられた上、団員との接触を彼の念能力で一切断たれたのだ。
『お願いだから死なないでね〜、一生夢見が悪くなりたくないか…らっ!!』
声の主の語尾に力が入った瞬間、クロロは自分の上半身がガクンと揺れるのを感じた。
感覚が殆ど無いのと、どうにでもなれと少々自暴自棄な気持ちで全く協力的ではない。
そもそも飲まず食わず歩き通しで体力の限界だったので到底どうにも出来なかったが。
『よい…しょっ…!!……っと…重ッ!!』
おい、失礼だなお前
意識の無い人間は重い、常識だろ
そんな事を回らぬ頭で思いながら、閉じたままの瞼を少しばかり恨めしく思い始めた。
恐らく背負われたから感じた声の主の線の細さと鼻腔をくすぐる甘い香りに安堵する。
香りで人を判断など出来ようもないが、無条件で「コイツは大丈夫だ」と思える香り。
地にしっかり足をつけ生き
身を粉にして働く者の意志
見ず知らずの人間の為に汗も涙も流せる奴。
俺とは真逆の
「(放っておけばいいものを…)」
どこぞの誰かも知らずによくやるもんだ。
身長が足りないせいでズルズル引きずられる足の感覚にクロロの頬が少しだけ上がる。
息を切らせ、汗を滲ませ、それでも声の主は自分を背にして必死に一歩一歩前へ進む。
もし…自分が残虐非道な幻影旅団の頭だと知ったらこの女は自分を放り出すだろうか。
助けて欲しいと言ってもいない。
ただ一方的な善意が女を動かす。
「なあ」
長い事まともな水分補給が出来なかったせいで我ながら情けない声だった。
『気がついた！？ 良かった…！』
女は腰に付けていた水筒をクロロに渡してくる。
だが生憎それすら握れる力はクロロに無かった。
『あ…ごめん…ちょっと我慢してね』
女はクロロを背から降ろし寝そべらせると、その水を自らの口に含む。
悲しそうな顔をした後、唇を合わせゆっくりゆっくりクロロの口に水を流し込んだ。
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みお(プロフ) - あー…ほんとに主様の作品大好きです…。今日一気読みしてもうほんとに好きです(？) (2022年10月2日 23時) (
レス) @page48 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
和花 - 絵めっちゃうまいし、とても面白いです！他の話も読みました！ゆーじさんが描く話、とても大好きです！ (2022年2月9日 14時) (レス) id: 7730c8acb7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - メッセージありがとう〜！もう週明けになっていたとは…時間の流れが早過ぎて驚いた。遅くなってしまって本当に申し訳ないです！スミマセン…!! (2019年2月25日 1時) (レス) id: 48b034f42e (このIDを非表示/違反報告)
kaya(プロフ) - テスト前故しばらく浮上してませんでした...。気づいてなくてすみません(汗)桜の方、ちょっと覗いてみてください。更新はまだ先になります。次の更新も、楽しみにしててください！絶対ですよ！ (2019年2月22日 21時) (レス) id: 504932b45f (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - kayaさん» こんな自分がkaya様を何と呼べばいいのか…!!!?か…かや…kayaさん!!もー本当にイイ子だー…ちゃんと躾されていい友達にも恵まれて素晴らしい人生歩んでいそう。勿論辛い事もあると思うけれどそれでkayaさんの才能を潰さないようにね。kayaさんの夢、叶う事願ってるよ。 (2019年2月20日 1時) (レス) id: 48b034f42e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーじ | 作成日時：2018年11月4日 5時
