4：とある日〜夢主SIDE〜 ページ6
強い人にはそれなりの後ろめたい過去や暗い過去がある。
ぼくにはそんなものないから、何とも言えないけど、これだけは分かる。
…現在進行形で、トラウマは続いている。
「〜〜ッ」
若干の恐怖を感じながらただひたすら走る。
走って走って走って、ただ後ろから追ってくるイルミさんから逃げる。
怖い怖い怖い！
イルミさん、なんで真顔で追いかけてくんの！？
ぼく何かしたっけ？
思い当たる節がない。
ぼくはただ振り切ることだけを考えていた。
ここ3カ月で、ぼくはだいぶ体力がついたと思う。
誰であろう、イルミさんのおかげ(？)で。
あっちにぼくに体力をつけさせる気なんて毛頭ない。
もちろんぼくも体力をつけたくて走っているわけじゃない。
ただ向こうが追いかけているから身の危険を感じて逃げているのだ。
それ以外、仮にも兄から逃げる必要なんてないだろう。
「お、お兄様！」
さすがに体力の限界。
普段そんなに動かない人間が30分も全速力で追いかけてくる兄から逃げ続けていればすぐに限界は見えるだろう。
ぼくはインドアなんだ、勘弁してくれ。
「なぁに、A？」
30分も休みなく走っていたというのに息1つ乱れていないイルミさん。
化け物かよ。 チートかよ。 それより言い方可愛かったですねコラ。
どんなに行動が怖くても、ぼくはイルミさんが好きだ。
ストーカー紛いのことさえしなければそりゃもう優しいし、自慢の兄だし、美人系兄だし！
こんないい兄はいない！…ストーカーをしなければ。
でも、それでもぼくは兄が好きだ。
血の繋がりがないことを知っていながらここまで全力で構ってくれる人はそういないだろう。
「お兄様だったんだね！ ぼく、よく分かんないけど、何かに追いかけられてる気がして…」
あくまで自分は知らない。
そう弱い立場を装い、今日もやり過ごす。
「うん。 心配だから」
随分と簡潔な答えで。
イルミさんのぼくへの心配事はいくつあるのだろう。
「で、でも、お兄様に心配かけまいと、お兄様の言う通り、女というか弱い立場を振舞うのではなく、男の子っぽく、振舞っておりますゆえ…」
“ぼく”と言い始めたのはぼくが7歳の時。
シュシュをあげた数時間後、女の子だと狙われるからとよく分からない理由で男の子のふりを強要された。
そして現在に至る。
……何に狙われているんだろう。
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RT - とても面白いです！続編頑張ってください！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ(プロフ) - 続編が出るのを心からお待ちしております！ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 471f321dcd (このIDを非表示/違反報告)
シベリアンハスキー(プロフ) - 凄く続きが気になります！！更新お願いします！頑張ってください！！ (2017年10月29日 3時) (レス) id: a9a6ccf11e (このIDを非表示/違反報告)
お凛 - すごく面白い！続きがとても楽しみです！更新頑張ってください^ ^ (2017年9月7日 13時) (レス) id: 86a1ba0e04 (このIDを非表示/違反報告)
カクテル - 更新早くお願いします！（＾∇＾） (2017年8月16日 16時) (レス) id: 1f958aadd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年3月25日 2時
