35：幻影旅団〜フィンクスSIDE〜 ページ40
俺は誤解をしていた。
Aは世間知らずで無力な子どもだと。
だが世間知らずなわけではなく、ただ歪んだ愛を一心に受けてきたんだと思う。
俺らには親って呼べるような存在はいない。
寂しいとは思わない。 ただ、新たな親ができるよりもうんと気が楽で楽しいと思えた。
だがこいつは違う。
自分が唯一兄弟と血のつながりがないと知っていながら平然と笑っているのだ。
家族、がいない俺からしたらすげーことだと思う。
だって、家族全員と一切血のつながりがないんだぜ。 なのに家族でいなくちゃいけなくてその家のルールに似たものを全うしていかなければならない。
子どもが、背負うようなもんじゃねえ。
非礼を詫びることも兼ねてAの行きたいところへ行こう。 ということになり、隣で楽しそうにしているAを横に、俺はらしくもなく考え込んでいた。
話を深く聞けばどうやら特殊な一家らしく、A以外の兄弟は全員拷問の訓練を一通り受けているらしい。
食事には毒が仕込まれていて日々訓練。
毒の入った飯は食べているらしいが……
「お前、本当よく生きてんな」
俺がそう言うとAはほのぼのと笑った。
「そうだねぇ…うん、ぼくよく生きてる。 最初嘔吐したけどね」
シャレになんねーよ。
おかげで毒で死ぬことはない。 とプラスに考えているようだが、それに直面することってほとんどないだろ。
Aの無邪気な笑いに、思わず笑みがこぼれた。
……本当、よく考えれば女だな。
透き通った肌、長いまつげ、左右で色彩の違う瞳。
女特有の少しだけ丸い輪郭。
Aは世にいう“可愛い”に分類される少女だろう。
そりゃこんだけかわいけりゃ重いものなんて持たせたくねーわな。
わしゃわしゃと雑に頭を撫でるも、特に抵抗はせず気持ちよさそうに目を細める。
「あー、フィンクスずるい、あたしも撫でたい」
シズクは小走りでAの横に並んだ。
Aの髪は、少し癖があって、ふわふわしているようでサラサラと指の間を通った。
わりとされるがままなAに警戒心を持たせたほうがいいと思いつつも、楽しいと思ってしまう自分がいることに少しだけ、ため息をついた。
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RT - とても面白いです！続編頑張ってください！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ(プロフ) - 続編が出るのを心からお待ちしております！ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 471f321dcd (このIDを非表示/違反報告)
シベリアンハスキー(プロフ) - 凄く続きが気になります！！更新お願いします！頑張ってください！！ (2017年10月29日 3時) (レス) id: a9a6ccf11e (このIDを非表示/違反報告)
お凛 - すごく面白い！続きがとても楽しみです！更新頑張ってください^ ^ (2017年9月7日 13時) (レス) id: 86a1ba0e04 (このIDを非表示/違反報告)
カクテル - 更新早くお願いします！（＾∇＾） (2017年8月16日 16時) (レス) id: 1f958aadd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年3月25日 2時
