この手を握るとき弐【出水公平】 (ページ15)

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番外編③ 祭りには華があるページ15

ボーダー本部から少し離れた、とある神社。

私は今夜、ここでのお祭りに太刀川隊(唯我は行かない。泣いてた)の皆で行く。

何故か浴衣で。

『ままま待ってください柚宇さん、私浴衣は別に』

『いやいやいや～、ここで着なきゃいつ着るのさ！』

『着ないつもりでは居ましたが！』

抵抗虚しく、国近宅に連れ込まれたのは、30分ほど前のこと。

「…………………わーお」

「柚宇さん、あんまり見ないでくださいよ……」

『これ絶対似合う！！！！！！！！』と興奮気味に差し出されたのは、黒地に赤や青、黄色……と、色とりどりの花火の咲いた浴衣だった。

鮮やかな色彩なのに、艶消しの効果で、変な派手さのない浴衣は、正直に言うと気に入った。

いや、一目惚れした。

「何回見ても良いなあ。私が似合ってるのか不安になっちゃう」

「柚宇さんも綺麗です。ほんとですよ？」

「えへー、ありがと」

はにかむ柚宇さんが纏う浴衣は、同じ黒地に、鮮烈な赤。丁寧に描かれた金魚が夜空を舞っている。

波を表しているのだろうか、所々に街灯の光を受けて煌めく金刺繍は、文句無しに綺麗だ。

と、遠くから「おーい！」と聞き慣れたこえが聞こえた。太刀川さんだ。

「太刀川さん達も浴衣なんですね」

「おう、爺ちゃんが昔ちょっと使っただけのやつがあったからな。出水にも着せてみた」

「おれいいって言ったのに……」

太刀川さんと出水は、グレーに黒のストライプが入った浴衣だった。

同じ色なので……

「親子みたいだね」

「おまっ………」

出水は絶句した。

「好んで着たわけじゃねーからな！」

「痛い痛い髪の毛やめて」

アタマかき混ぜられた。

「おーい、イチャイチャしてないで行こうよ～」

「遅いぞー出水ーAー」

「あー、すんません！今行きます！」

出水は太刀川さん達に大声で返すと、私の方に向き直った。

「？？？」

「えーっと、その…………………似合ってるぞ」

「えっ」

気持ち髪の毛を整えながら、出水は赤い顔をして、言った。

「あ、りがと………」

「ふは、顔真っ赤」

自分だって赤いくせに……

とか思ってると、きゅっと腕を掴まれた。

「わぁ」

「今日ぐらい、な？」

無言で頷くと、出水は笑って腕を引いて、歩き出した。

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「うわっ、お前らスゲーことしてんな」

「太刀川さん、羨ましい？」

「出水コロス」