#016 ページ16
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「Aさん、海琉について行こうとしてる姿よく分かるもん。そういう一生懸命な子は、俺好きだよ」
『......ありがとうございます』
「だからと言って、『華』に選ばれたからって、あまり気を張りすぎないでね？楽しむのが1番なんだから......後でゆっくりお話しよーね、じゃ！」
『はいっ！』
青木先輩って、めちゃくちゃ優しいだけじゃなくて、ちゃんと周りみてるしアドバイスも的確...と胸を打たれていると「おい」と声を掛けられる。私にこんな声の掛け方をするのは、もちろん1人しかいない。
『......織山先輩、なんでしょうか』
「お前、何かあった？ボーっとしすぎだよ」
『......大丈夫です、』
「大丈夫じゃなさそうだから言ってんの」
腕を組みながら溜息をつく尚大。だけど、そっと伸びた手は思いのほか優しく頭を撫でた。思いがけない行動に驚いていると、彼は咳払いをひとつした。
「一応俺も先輩だから、なんかあったら言って」
『......ありがとうございます』
「どーせ海琉くんの顔がイケメンすぎて緊張してるだけだろうけど」
『なっ...そんなんじゃないですから！』
「そうやって元気でいろよ」
尚大なりに、心配してくれたんだ...ちょっとだけ嬉しかった。少しして戻ってきた海琉くんの手から、ペットボトルの水が渡される。お礼を言えば優しく微笑む海琉くんを見て、思う。
__________......海琉くんに、好きな人がいてもいい。
やっぱり、私はこの人のことが好きだから。
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作者名：時雨
| 作成日時：2022年11月19日 10時
