#011 ページ11
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「......あ。おかえりなさい」
『な、なんでいるんですか?!』
「だって学園じゃ話してくれないでしょ？」
『だからって......ええ？』
家に帰ってくると、門の前に織山先輩がいた。なんで家知ってるの...とも思ったけど、経済力のある人達なんて、そんなの朝飯前か、と勝手に答えを出した。
なるべく関わりたくなくて『なんですか？』と返せば、尚大はじっと私を見つめる。
「別に？ただ、俺的には昔仲良かった友人に会えた喜びを分かち合おうとしたのを拒まれて悲しかったなぁと」
『仲良かったって...子供の頃の話でしょ』
「にしても、酷くね？まぁ......海琉くんに釣り合うためには、虫取り少年よりはお淑やかなお姫様だよねぇ」
その言葉に、門を開けようとした手を止めた。尚大の方を見れば、彼はにやにやする。昔もそうだった......なんか、良くないことを考えている時の尚大のこの表情は、ロクなことを考えていない。
「......協力してあげよっか？」
『大丈夫です。別に、『華』に選ばれたから隣に居られるし』
「そんなの形だけじゃん、そうじゃなくて......Aは、恋人になりたいんでしょ？俺が、協力してあげる」
『だったら、この事黙って大人しくしておいて下さい......では』
「おーい......って、行っちゃったし......」
そのまま自分の部屋のベッドに飛び込む。最悪だ......尚大はまるで新しい玩具を見つけたようだった。このまま大人しく黙ってくれるとは限らない。
ああ......せっかくの学園生活が危うくなる！
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作者名：時雨
| 作成日時：2022年11月19日 10時
