テリトリー

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駒井side


この夏は色んなことがあった。

郁磨と瑛茉が付き合ったと思ったら
しばらくして別れたし。

私は、やっと穂積に想いをぶつけることが出来た。

そして、郁磨のことを意識し始めた。



こんなに沢山ことが起きたけど、私たちの関係が変わることはなく
みんなが誰かに想いを寄せながらも均衡を保っていた。



今までと変わったことといえば、
穂積がAと距離を取り始めていることくらい。



Aが気づかない程度に関係を保ちつつ、
深くは介入しないように
2人きりにならないようにしている。


それが、いつかの私と穂積の距離感のようで。


もしかして。。。




「Aって、穂積のこと、好き？」

『え？』



始業式のあと
帰りが一緒になったので単刀直入に聞いてみた。



『好きだけど、なんで？』



当たり前のように答えたAに、言葉がつまる。


これは
友達としてのやつだ。



「恋愛感情はあるの？」

『それはないけど。なんで？』



察しのいいAのことだから、これ以上聞くのはよろしくない。



『それより、こまは、櫛谷のことどうするの？好きでしょ？恋愛感情的に。』

「は。。はぁ？！」



自分でもびっくりするくらいアホみたいな声が出た。

Aには、ほんと勝てない。




『私も。恋愛したい』

「え？！そうの？！」



今まで恋愛に関する発言は微塵もなかったのに。
なんだか、嬉しい。


そう思ったのは一瞬で、
Aの後ろに立つ人物を見て冷や汗が流れた。




「穂積。。。。？」



そこには、目だけ笑ってない穂積が。



『あ。穂積。』


それを気にしてない様子のAに、ハラハラしながら



「どこから聞いてた？」



そう聞くと



「A、恋愛したいんだね。」



と、黒い笑みと
頑張れという謎の応援を残して去っていった。



なるほど。

やっぱり、穂積の方か。



Aの表情をみると、少し嬉しそうにしている。



表情はあまり変わらないが
幼なじみを舐めないでほしい。




「Aは、すぐに恋できるよ。頑張らなくても。」

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