先生と仲間達3 ページ11
｢急に借りて悪かったな｣
｢いえ……その、おかえりなさい｣
晋さん……否、高杉さんは面食らったのか一瞬動きを止めた。
｢あァ、テメェのところの大将は勝ち逃げなんざ許さねェらしいからなァ｣
最も過激で最も危険だった男は、至極柔らかい笑みを浮かべた。
｢やはり君達はこうでなくちゃいけませんね｣
先生は4人のもとへ歩み寄り今まで見た中で1番嬉しそうな笑顔を見せた。
｢今日は宴会じゃぁ｣
｢全て貴様の奢りだぞ坂本｣
｢焼き肉アルか！？｣
｢なんでもたくさん用意してやるぜよ｣
わいわいと騒いでいたが、銀さんは違った。
｢悪ィ、今日はやめにしてくれねーか？｣
｢何アルか銀ちゃん、どうせ暇ダロ｣
｢呑みに行きてーんだよ｣
｢じゃあわしが酒を……｣
坂本さんが気前良く手を挙げてくれたが銀さんは断った。
｢とにかく今日はダメだ｣
｢どういう理屈アルか！｣
神楽ちゃんが猛抗議したが全く聞き入れられなかった。駄々をこねる神楽ちゃんを見兼ねた武市さんが腹いっぱい食わしてやるとか恐ろしい約束を取りつけていた。
｢行こーぜ、高杉、A｣
その言葉で、僕はようやく銀さんが今日はダメだと言った理由が分かった。高杉さんはじゃあなと手を振り背中を向けた。先生はすみませんねと謝りながらも嬉しそうに2人の後を追った。
｢ヅラ、行かなくてええんか？あのメンバーじゃおまんも……｣
桂さんはゆっくりと首を振った。
｢あの時あの場所で、奴らが何を見、何を言ったのか俺は知らん。今後も知ることはないしその必要もない。あの3人にしか分からぬ約束があるのだろう。
俺があの輪に入るのはもう少し先でも構わんさ。無論、その時の輪は4人でも5人でもなく、数え切れぬ程の人達で作った、大きな輪であろう｣
肩を並べて歩く3人を、僕らはその背中が見えなくなるまでずっと見ていた。一瞬だけ、先生によく似た誰かが、僕の隣に立って微笑むのが見えた気がした。
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凛 - 早く続きが見たいです！ゆっくりでもいいので更新待ってます！ (2022年12月16日 19時) (
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作者名：風寧 | 作成日時：2019年10月15日 16時
