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紙袋を抱えて店を後にする。少し違うのは、上林誠知くんが隣を歩いていること。
カウンター席から立ち上がった彼が、想像以上に大きくて、思わず声に出してしまった。何を食べれば、こんなに大きく育つのだろう。特別小さい訳ではないけれど、背が高いひとに憧れを持っている私にとって、目の前の彼が羨ましかった。
そんな彼、誠知くんと細い通りを歩く。店を出るタイミングと向かう方向が一緒だっただけ、特に会話もなく、彼の後ろを着いていく。私に合わせてゆっくり歩いてくれる長い脚。ああ、きっとこの人、すごく優しい人なんだろうな。
｢…葵さんて、｣
｢え？｣
黙々と歩いていた彼が、そのすてきな横顔を見せた。低く落ち着いた話し方、いいなあ。
｢あの店、よく行くんですか？｣
｢ああ、うん。よく、行きます｣
｢…タメ語で｣
｢…よく、行く、よ｣
ぎこちない言葉に、誠知くんが小さく笑った。彼の笑顔は大人っぽいのに、あどけなさも残っていて、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
｢誠知くんは、よく行く、の？｣
｢俺？俺は、まあ、気が向いたら｣
｢そうなんだね、小さな喫茶店に若い男のひとって珍しいなあって思ったよ｣
｢…ひとりになりたいときとか、落ち着きたいときに行きます。あそこ、静かなので｣
｢そうなんだね…！私はマスターに会いたいときに、行ってるかな｣
｢マスターとは昔から知り合い？｣
｢うん、福岡に来て、初めて個展を開いたときに、マスターが見に来てくれたの｣
｢へえ…、個展ってすごいっすね｣
｢それで、気に入ってもらえて。そこから仲良くしてもらってる｣
お母さんのような、お姉さんのような、この街に住むには欠かせない存在なの。そう誠知くんに伝える。すると彼は、嬉しそう、とちゃかすように呟いた。
なんだかすごく、楽しいな。男のひとと話すことが珍しいから、緊張すると思ったのに。
｢誠知くんは、ホークスに決まってこっちに？｣
｢はい｣
｢一人暮らし？｣
｢はい｣
｢わ、一緒だね。一人暮らし楽しいよね｣
｢家事は大変ですけど、いろいろ楽っすよね｣
｢でも私…アトリエとアパートが近いから、アトリエで寝泊まりしちゃうこともあるの｣
｢アトリエ…｣
ぼそっと呟く誠知くんが足を止めた。
｢アトリエ、行ってみたいです｣
そう真っ直ぐな目で見られて、思わずドキってしてしまった。
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aoi(プロフ) - みゆうさん» こちらこそです＊楽しみにしています。 (2019年3月5日 1時) (
レス) id: 1e8b3648c1 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさん» 見てきただけて嬉しいです！ありがとうございます！ (2019年3月4日 22時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みゆうさん» とてもありがたいお言葉ありがとうございます…！意識している部分でもあったので、嬉しいです＊そして実は私、みゆうさんのおはなし拝見させてもらってます。私こそ更新楽しみにしています＊ (2019年3月1日 0時) (レス) id: ddb827d49e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさんの書く小説、主人公の見ている景色や生活の雰囲気だったり、想像力が膨らんで、心がほっこりする言葉の使い方が凄く好きです。更新楽しみにしています！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi | 作成日時：2019年2月28日 23時
