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ゆっくりした動作で、彼は絵を受け取る。そのまま、じっと見詰めるから、なんだかどきどきしてしまった。
｢マスターにね、頼まれていた絵を描いたの。それが、この絵で……｣
｢…｣
｢そしたら、この絵は誠知くんに渡した方が良いって言ってくれて。私も誠知くんにあげたいって思った絵だったの｣
｢俺に？｣
｢うん。…いらなかったら、遠慮なく言ってね｣
｢…すげえうれしい。あざす｣
誠知くんに渡すことに、言い訳を並べてしまった。そうしないと、心が潰されてしまうと思った。誠知くんは驚いた表情をして、私の言葉を聞いていたけれど、すぐに頬を緩めて。心底嬉しそうな顔をしてくれた。
｢これ、俺？｣
｢え！うーん、誠知くんじゃないんだけど、誠知くんになったの｣
｢？｣
｢…誠知くんをね、思いながら描いたら、私の想いが移っちゃったみたい｣
何も考えずに言った言葉に、誠知くんは目を開いた。私、何を口走ったの。そう気付くのに時間は掛からなかった。
｢えっ、と、あのね｣
｢……｣
｢その、…｣
｢……あー！｣
突然大きな声を出した誠知くんに、今度は私が驚いてしまう。乱暴に頭を掻いて、そのまま俯いてしまった彼。
私が変なこと言ったから引かれたかな。きっと引かれたよね。出会って日も経ってないのに、こんなことされて、いやだったよね。
わたわたと焦りだけ溢れても、うまく言葉にできない。どうして良いか分からず、私まで俯いてしまう。渡さなければよかった、と少し後悔していると、誠知くんは突然ばっと顔を上げた。
｢誠知く、｣
｢なんでそんなかわいいことすんの？｣
｢…え？｣
｢……反則でしょ、こんなん｣
｢……っ｣
｢ゆっくり知っていけば良い、時間かけていけばいいって思ってたのに｣
そう、困ったように笑う誠知くんの目。逸らせない。
｢……俺、やっぱり葵さんがすきです。…早く俺のものになってよ｣
真っ直ぐ、貫かれる。真剣な瞳から逃げられない。その瞳が少し男っぽく変わったとき、彼の唇が私の唇に触れた。
私…誠知くんと、キス、してる。
心地よくて、そのまま、静かに瞼を閉じた。
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aoi(プロフ) - みゆうさん» こちらこそです＊楽しみにしています。 (2019年3月5日 1時) (
レス) id: 1e8b3648c1 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさん» 見てきただけて嬉しいです！ありがとうございます！ (2019年3月4日 22時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みゆうさん» とてもありがたいお言葉ありがとうございます…！意識している部分でもあったので、嬉しいです＊そして実は私、みゆうさんのおはなし拝見させてもらってます。私こそ更新楽しみにしています＊ (2019年3月1日 0時) (レス) id: ddb827d49e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさんの書く小説、主人公の見ている景色や生活の雰囲気だったり、想像力が膨らんで、心がほっこりする言葉の使い方が凄く好きです。更新楽しみにしています！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi | 作成日時：2019年2月28日 23時
